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第十章
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“今終わったんで、直ぐにアパート向かいますね。”
迅鵺は、悠叶にLINEを送るとアパートに向かう。
予定ではもっと早くに行って、ちゃんと気持ちを伝えて蕎麦でも食べながら一緒に年越す予定だったのが、既に深夜二十四時を回っていて、残念ながら年を跨いでしまっていた。
悠叶のアパートに着いた迅鵺は、溜め息を吐くとインターホンを鳴らす。
けれど、なかなか悠叶は出て来なくて、ついに迅鵺もブチッと何かが切れたようだ。
「────あんのっやろぉ・・」
迅鵺は、深夜だというのにインターホンを連打する。
かなりの近所迷惑で、もしかしたらお隣さんからクレームが来るかもしれない。
それでも、迅鵺は連打しまくった。
すると、流石に慌てたのか中からドタバタと騒々しい物音がすると渋々といった様子で、そろ~とドアが開いた。
「お隣さんからクレームが来たらどうするんすか!?」
何故か、迅鵺が文句を言う。
きっと、それは俺のセリフだと言いたいだろう悠叶は、鼻も目も真っ赤に腫らしていてかなり泣いたという事が分かる顔で“えぇ~?”とでも言いたそうな表情だ。
「────な、なんの用でしょうか?」
わざとらしい、悠叶のよそよそしさに迅鵺は更に腹を立てると、無理やり悠叶を押し退けて部屋へと上がり込んだ。
「────で、なんで泣いてるんすか?」
迅鵺と悠叶は、キッチンのちゃぶ台に向き合う形で座ると、迅鵺は、ちゃぶ台に肘を付き頬に手を当てがって、顔はそっぽを向いていて不機嫌そうだ。
そんな迅鵺の前で、悠叶は未だにグズグズと鼻をすすっていて、正座をして下を向いている。
なかなか、話そうとしない悠叶を見兼ねて、迅鵺は溜め息を吐くと、ちゃんと悠叶の方を向き直した。
「────無視したから、怒ってるんすか?返事をしなかった事は謝ります・・」
迅鵺は、自分が先に返事をしなかった事を謝ると、そのまま話を続けた。
「俺、男と体の関係持ったのも、男の事でこんなに悩んだのも初めてなんです・・・正直、悠叶さんの気持ちを知って、その後であんな風に触られて、俺すっげぇ動揺しちゃって・・・返事しなかったのは、ちゃんと考えてたんです。悠叶さんのこと。」
今まで下を向いていた悠叶だが、迅鵺から悠叶の事を考えてたと聞いて、体をビクッと反応させると不安そうな表情を見せた。
「それで俺、ちゃんと気持ちに整理がついたんで──」
「い、嫌ですっ!!聞きたくないっ!!」
まだ話し途中だというのに、悠叶は迅鵺の話しを中断させ、目をギュッと瞑って、殆ど意味を成さないが怪我をしていない右手だけで片耳だけを塞ぐ。
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