アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第十一章
-
あんなに肉体関係について悩んだというのに、いざ腹を括って認めてしまえば、今度は求めてしまう。
迅鵺は、現金なもんだと我ながら呆れている。
けれど、それとこれとは別問題。
店では、無理やりトイレに連れ込んで厭らしいこたした癖に・・・
迅鵺が、そんな事を思っているだなんて思いもしていないのだろう。悠叶は呑気に笑っていて、迅鵺が居るだけで幸せといった感じだ。
迅鵺は、意を結して誘ってみる事にした。
────遠回しに。
「なあ、悠叶さん・・」
迅鵺は、ベッドに座ってテレビを見ている悠叶の背後から、上から下へ背骨に沿ってスーっと人差し指を這わせた。
「どうしたんです?迅鵺さん。」
と普通な反応が返ってきて“なんで効かないんだ?”と迅鵺は首を傾げた。
すると、今度は悠叶の脇腹をつついてみる。
けれど、またもや同じ反応をされた迅鵺は“なんで効かないんだ?”と再び首を傾げた。
どうやら迅鵺は、悠叶を擽りたいようだ。
もしかしたら、悠叶は鈍いのかもしれないと思った迅鵺は、今度は思いっきり脇腹を擽った。
「────迅鵺さん、擽りっこしたいんですね?」
迅鵺が擽ろうとしている事が分かった悠叶は、後ろを向くと迅鵺の脇腹を擽り返してきた。
その瞬間、迅鵺は奇声を上げると大きく身を捩らせて暴れる。
「や"────っ!やめっ・・ひっ、や、やめてっ・・」
身を捩らせてベッドの上を転げ回った迅鵺は、気付くと服は乱れ放題で腹筋まで丸見えなヘソは震えていて、ズレ下がったスウェットのズボンはかなり際どい。
笑い過ぎて火照った体に、ほんのり頬は赤く染まり瞳には涙を滲ませて、なんとも色っぽい事になっている事に気付いた悠叶は、ピタリと動きを止めて、そんな迅鵺を凝視する。
迅鵺は、ようやくくるか?と乱れた呼吸を整えつつ悠叶の様子を伺うけれど、結局キスすらしてこなかった。
迅鵺は内心とてもショックで、それに気付かれないように振舞う。
「なっ、なんで悠叶さん、擽ったくねぇの?」
ムスッと拗ねたように言って見せるけど、ケロッとした様子で悠叶は答えた。
「ああ──・・俺、擽られても全然、平気。」
悠叶の言葉に、余計に惨めな気持ちになった迅鵺は、馬鹿馬鹿しく思えてきて、もう自分から誘うのは辞めようと思うのだった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
114 / 140