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第十一章
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物凄いスピードでジョッキを空にする迅鵺と響弥。
一杯目は、ほぼ同時に飲み干した。
「流石は、うちの主任とNO.1だあっ!早いですっ!」
代表の実況に、店内は大盛り上がり。
迅鵺と響弥は、お互いを睨みながら二杯目を手に取ると、それを一気に飲み干す。
本当にいい勝負で、どちらが勝つのか誰にも予測出来ず、翔なんかは自分のテーブルでどっちが勝つのか一万円を賭けると言い出す始末。
そして、ついに二十一杯目に突入した時、流石にぶっ続けで飲んでいた二人に変化が訪れた。
響弥は、ふらついてシャンパンを注ぐ為に置かれているテーブルに手を着き、迅鵺はふらついた体を悠叶が支えた。
「と、迅鵺さん、もういいですっ・・」
悠叶は心配そうに眉を下げて言うけれど、迅鵺は悠叶を払い除けた。
「はるとさんは、だまっててくらさいっ!」
そして、二十二杯目のジョッキを手にすると、響弥も負けじとジョッキを手にした。
けれど、二十二杯目を飲み干す前にジョッキを手から落としてしまった迅鵺。
流石の迅鵺も限界だったようで、飲み干すことが出来なかった。
対する響弥は、しっかりと飲み干している。
悠叶に支えられている迅鵺を、ニヤリと見下した響弥は、空になったジョッキを上に上げた。
「俺の勝ちだあああっ!」
響弥の声に、店内はこれまでの中で一番の盛り上がりを見せる。
代表が審判を下そうとマイクを口元へ持っていった時、悠叶が大きな声を上げた。
「ちょっと、待って下さいっ!」
いきなり発せられた悠叶の大声に、一気に悠叶に視線が集中する。
そんな中で響弥だけは、余裕の笑みを浮かべて悠叶を見ていた。
「と、迅鵺さんが飲めなかった分を俺が飲みますっ!」
予想だにしない悠叶の言葉に、迅鵺は目を見開いて悠叶を見たかと思えば、慌てて止めようとする。
「はあっ!?何言ってんすか!あんらにはム──」
「俺はいいぜ。」
呂律の回らない迅鵺が言い終える前に響弥が挑発するような物言いで言って退けると、悠叶は冷や汗を流しながらも一歩前に出た。
そんな悠叶の肩に、ポンと手を置き耳打ちをする響弥。
「このまま、おめおめとずらかるような野郎だったら、迅鵺を奪い取ってやろうと思ってたところだ。」
響弥の挑発に、簡単に乗せられる悠叶。
キッと響弥を睨み付けると、響弥がシャンパンを注いだジョッキを手に持ち、それを一気に飲み干す。
「やれば、出来んじゃねぇか。」
「迅鵺さんを、あなたなんかに渡す訳にいきませんからね。」
たった一杯でも、辛そうに顔をしかめる悠叶だが、負けられないと言わんばかりに二杯目も飲み干した。
「お、おいっ!なんか目的が変わってねぇか?」
いつの間にか主旨が入れ替わっている事に気付いた迅鵺は、止めに入ろうと悠叶の肩を掴んだ。
けれどその瞬間、悠叶は力無く倒れてしまい、顔は真っ赤になっていて視点も定まっていない様子だ。
「と、としやひゃん・・しゅいましぇん・・・」
「────おい、なんで俺より呂律回ってねぇんだよ・・・」
結局、二杯で目を回して倒れてしまった悠叶に、呆れる迅鵺。
勝者は響弥という事でその場は収まり、Wiiは響弥の手に渡った。
イベント最終日に相応しい大盛況の中、TOP SECRET正月イベントは幕を閉じた。
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