アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
rd
-
翌朝。
また若干力の入らない腰をさすりながらベッドから這い出した。
昨夜も蒼に激しく抱かれ、何だかんだと3回も絶頂させられたのだ。
胸元と太ももにはたくさんの紅い華が散らされている。
「うー……」
のろのろとクローゼットを開けていると、不意にコンコンとノックされた。
「どーぞー」
「失礼致します」
開いたドアから顔を覗かせたのは氷だった。
「恐らくまだ腰が立たないだろうからと主人が」
「あはは、大正解」
「簡単なお手伝いをさせて頂きますね」
氷は叶弥を椅子に座らせ、テキパキとシャツなどを手渡していく。
それを受け取ってもたもたと着ている叶弥を見て、氷は微かにだが頬を緩ませた。
氷にとって、叶弥は大事な主人の恋人であり弟や子供のような存在だ。
だからこそ、丁寧に扱い、見守りに徹している。
「ねえ氷」
「何でしょう」
「氷は好きな人居るの?」
「急にどうなさいましたか」
突拍子もない叶弥の質問に、氷は表情を一切崩さずに問いを返した。
ここに来て1年が過ぎたのに、何て今更な質問なのだろうかと苦笑したくなるほどだった。
「何か気になって……」
「おりますよ。可愛らしい人です」
さらっと答えた氷を2度見する叶弥。
叶弥は居ないとあっさり返されると思っていたのだ。
こんなことに興味が無さそうなイメージのある氷の口から、居るなどと言われたら気になってしまう。
「付き合っては……」
「恋人ですよ。ですから、主人と叶弥様の様なことも致します。今度お見せ致しましょうか?」
「やっ……なっ……はっ……?」
顔を真っ赤にして、口をパクパクとさせる叶弥。
金魚みたいだと思い、氷は笑いを堪えられなくなった。
「笑ってる……騙したでしょ?!」
「いえ、恋人が居るのは本当のことです。勘の宜しい方ならばすぐに気付くと思いますけれどねえ」
ぽかんと固まる叶弥と、面白そうにそれを見ている氷。
そんなやり取りを少し遠くから聞いていた蒼。
「炎。すまないが様子を見てきてはくれないだろうか」
「何やら氷がお前の手伝いを欲しているようだ」
「はーい!」
タタタと駆けていく炎の背中を見て、蒼は心の中で小さくすまない、頑張ってくれとエールを送った。
そして影となり、そっと叶弥の部屋へと自分も向かった。
「失礼しまーす。氷ー」
時の止まった叶弥とクスクス笑っている氷というアンバランスな状態の部屋に、炎が足を踏み入れた。
「おや、どうしたんです」
「主人がさ、氷が何か俺の手伝い欲しがってるから行ってやれって」
「そうですか…」
先ほどの会話は聞こえていたということだ。
その上でわざわざ手伝いと称して炎を送り込んだということは、蒼なりのGOサインなのだと氷は察した。
だとすれば、きっとこの部屋の何処かに蒼も居るのだろう。
目的は分かっている。叶弥の反応が見たいのだ。
自分も炎の反応が見たいという好奇心があり、氷はそれに乗ることにした。
「炎」
ぐいっと炎の腕を引っ張り、自分の腕の中に炎を収めた。
唐突な行動、ましてや叶弥の前でということにパニックを起こした炎はえ?え?とあたふたとしている。
「お前は黙って俺だけを気にしてろ」
普段の氷からは想像の出来ない言葉と声に叶弥はびっくりして2人の顔を交互に見る。
炎はびくりと身体を震わせ、頬を紅潮させると小さく頷いて大人しくなった。
これから起こるであろう出来事を予測した叶弥は逃げたいのに、何故か身体が縛り付けられたように椅子から離れることが出来ず、2人を見ているしか出来ない。
「んっ……」
氷が炎に深く口付けを始めると、炎は自然に氷の首に手を回した。
恐らく、炎も狙いを理解したのだろう。
舌の絡まり合うピチャピチャとした音が部屋に響き渡り、叶弥は恥ずかしくなって目を逸らした。
それでも耳に届く音が更に羞恥心を強める。
耳を塞ぎたいのに、今動かせるのは目だけで。
視線を逸らす以外のことが出来ない。
「ふぅ……っ……ん……っ」
炎の目が次第にとろんと蕩け始め、腰を揺らしながら自分から更に口付けを深める。
微かにだが。氷の頬も紅くなってきた。
するりと手を滑らせ、器用に片手で炎のベルトを外して手を差し込む。
もぞもぞと手が動いているのが見ていても分かる。
「んぅ……っ」
その手が動く度に炎の腰がびくびくと動き、漏れる吐息が甘くなる。
苦しくなってきたのか、氷と炎の唇が離れた。
「んん……っ」
「炎は変態ですねえ。叶弥様が見てますよ」
「だって氷がぁ……あっ……」
急にびくびく動く炎の腰が早くなった。
「それっ……やぁ……っ」
「こうして先端を下着の上からカリカリされるの好きですよね、炎は」
「ちが……っ……だって……っ」
「ねえ、炎。下着が湿ってきてますよ?おかしいですね?」
2人のやり取りに、叶弥は自分の下半身がジンジンしていることに気づいた。
こんな行為を見せられて興奮している自分に気付いてまた恥ずかしくなる。
「炎、これは何でしょう?」
引き抜いた手を炎に見せ付ける氷。
くっ付けた親指と人差し指をゆっくり離すと、何やら糸が引いていた。
「知らない……っ」
「おや、知らないわけはありませんよね?ほら、答えろ」
「お、俺の……エッチな……汁……」
「いい子ですね。さあ、しっかり舐め取ってください」
氷が指を炎の口元に持っていくと炎はパクリとその指を咥えた。
チュウチュウと音を立てながら丁寧に氷の指に舌を絡めて舐めている。
そんな炎を愛おしそうに、満足そうに眺めている。
こんな表情も出来るのだと叶弥は複雑だった。
「よく出来ました」
氷は炎の口から指を抜くと、また炎のズボンの中に手を入れる。
「氷……叶弥様が見てるからこれ以上は……っ」
「でも、こんなになっているんですから出さないと収まらないでしょう?」
「あっ……それもやだ……ぁ」
必死に氷にしがみつき、顔を氷の肩に埋めて腰をびくびくとさせながら喘いでいる。
「嫌なのにこんなに熱くなるんですねえ」
「氷の指……きもちい……からぁ……っ」
「ふふ、素直で可愛いですよ。ご褒美に炎の好きなことしてあげますね?」
その瞬間、炎が先程よりも大きな嬌声を上げた。
更に腰をびくつかせ、ガクガクさせている。
氷にしがみつくのもやっとの様だ。
「相変わらず先端をグリグリとされるの好きなんですね」
「ひっ……やだぁ……それ……だめぇ……!」
「じゃあ、続きはお部屋でしましょうか」
ぴたりと手を止めて、そのまま力の入らない炎を抱え上げた。
なかなかに細腕の氷のどこにそんな力があるのかと常々叶弥は疑問に思う。
「氷のばかぁ……うぅ……」
「ほら、モジモジしない。ちゃんとしてあげますから。最後の顔は叶弥様とは言えど見せるのは惜しいもので。主人、もう宜しいですね?」
「お前も大概、性格が悪いものだな」
氷が部屋の天井を仰ぎ見て声をかけると、ゆらっと影が現れて蒼の姿になった。
よく見ると、その影からロープ状に伸びた黒いものが叶弥を縛り上げていた。
「そ、蒼?!」
「使用人のこんな姿見て平気な主人もどうかと思いますが」
「動物の交尾を見ているのと変わらんからな。それより、早く処理してやれ」
顎でくいっと炎を示すと、氷は頭を下げて出ていった。
「蒼、どういうこと?!」
「氷の会話が聞こえたからな。お前があんなシーンを見せ付けられたらどんな顔をするのかと思ったんだ」
叶弥を解放すると、そのまま叶弥の目の前に降り立って顎を掴んだ。
「なかなかに可愛らしい顔が見られて満足だ」
「ぼ、僕は恥ずかしかったんだよ!?」
「その割に、ここは反応しているが」
すっと蒼が叶弥の秘部を指で撫で上げる。
突然の刺激にふるっ……と叶弥の腰が震えた。
「変なもの見せ付けるから……っ」
「自分もされたいと?」
「蒼のいじわる……」
「朝はあまり時間がないからな。夜に可愛がってやろう」
蒼は叶弥に服を着せながらニヤリと笑う。
「ずるい……」
「それとも口でしてやろうか」
「夜まで取っとく……」
「ふ……いい子だ」
叶弥の手を取り、蒼は立ち上がらせた。
「さっさと食事をしないと遅れるぞ」
「はーい」
蒼に手を引かれ、食堂の椅子に腰かける。
既に用意されていた少し冷めた朝食をさっさと済ませ、最後に洗顔などの身支度を済ませた。
「いってきまーす!」
叶弥は笑顔で蒼に手を振って館を出た。
森の道を出たところで、驚いて足を止めた。
「え、陽楽……?」
「おはよー叶弥」
「え、何でここ知ってるの……?」
「せんせーに聞いたんだよ。最近あんま話せてないからさ、登校の時くらいゆっくり話したいなーって」
「そ、そっか……?」
納得はいかなかったものの、それ以上追求しても仕方がないと判断して叶弥は答えた。
実際、学校側にはここの住所で届けを出しているので教師に聞けば分かることだろう。
何故、聞いたかは謎だが確かに陽楽の言う通りであったし、登下校をしたいだけなのかもしれないと思ったからだ。
「そういや聞いたことなかったけどさ。世話になってる人ってどんな人?」
歩きながら唐突に投げられた質問。
「え……あ、ああ、優しくていい人だよ」
その問いに、まさか美人な顔をした吸血鬼の男だとも、ましてやその恋人だとも言えるわけもない。
「へぇ……いくつの人?」
「えっと……」
蒼の年齢を知らない。と言うよりも聞いたことがない。
見た目はどう頑張って見ても20代にしか見えない。
良くて若く見える30歳前後だ。
「30歳……くらい……」
「え、若くね?よく施設もOKしたな」
「あ……何か青年実業家?らしくて。それで住み込みでっていう形で引き取ってもらったんだ」
そもそも、蒼が働いているのかも、資金などをどうしているのかもよく知らない。
ただ、周りに聞かれたら青年実業家と答えておけと言われているのだ。
「ふーん」
「ほ、ホントにいい人だよ。あっほらもうバス来るよ」
話を変えたくて、叶弥はバス停の時刻表を指差した。
そんな叶弥を陽楽はじっと見ている。
何か怪しまれるような言動でもしたのだろうかと叶弥は身構えた。
「その人さぁ……」
陽楽の紡ごうとした言葉は到着したバスに遮られ、叶弥はその視線と言葉から逃げるかのようにバスに乗り込んだ。
陽楽はそんな叶弥に疑念を強めながら後に続いた。
昨日見たあれは、どう見ても普通の関係なんかじゃない。
声はあまり聞こえなかったが、ただの関係にしてはべったりとしすぎていたし、キスまでしていた。
それなのにただのいい人で済むわけもないし、ただ引き取った訳でもないのは陽楽でも分かる。
それに、施設を出てからの叶弥は色気を纏うようになった。
原因が何かは明白だ。
けれど、それを問い詰めて避けられるという展開は陽楽にとっては何よりも困る。
どう探りを入れようかと思考を巡らせた。
「叶弥さぁー最近早く帰るよな」
「お世話になってるからね。早めに帰って手伝いとかしたいんだ」
「ああ……なるほど。たまには俺と遊べよなぁー」
「んーそうだね。今度聞いてみるよ」
「……何を?何か聞く必要ある?」
しまった、と。
叶弥は何の気なしに答えた事に後悔した。
ただの友人と遊ぶのにいちいち何か聞いたり許可を求めなくてはならないなんて、普通では有り得るのか。
「だってほら、金銭面とかでもお世話になってるし帰り遅くなったら手伝いとか出来なくなるしさ」
我ながら上出来な返事だと思った。
不自然ではないはずだ。
「ふぅん。色々大変なんだなぁ」
「そりゃあ置いてもらってるからね」
あはは……と誤魔化すように叶弥は笑った。
親友である陽楽には隠し事はしたくはない。
けれど、こればかりはどうにもならないのだ。
これだけは、いくら陽楽相手でもそう易々とは話せることではない。
だからこそ、誤魔化す以外に手立てはない。
そんな叶弥を見つめる陽楽は何処か寂しげで、それでいて怒りを含んでいる。
暴いてやるのだと、小さく小さく拳を握りしめていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 15