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叶弥は蒼の腕の中で目を覚ました。
今は何時か分からない。
けれど、もしいつもの時間ならば氷や炎の声がするはず。
生憎、蒼の部屋には時計がない。
炎と氷が時間になると声をかけに来るため、必要がないのだ。
故に、この部屋で時間を確認する術がない。
カーテンの向こうはまだ少し薄暗い。
明るくなり始めたばかり、といった感じだ。
「珍しいな。もう起きたのか」
「蒼。おはよう。起こしちゃった?」
叶弥が顔を動かしたからか、蒼が目を覚ましたようだ。
「いや、自然と目が覚めただけだ」
「なら良かった」
「……叶弥、散歩にでも行くか」
叶弥ごと身体を起こしながら蒼は言う。
「え、吸血鬼って日光駄目なんじゃないの?」
目を丸くして叶弥は声を上げた。
その様子に呆れた様にしばらく叶弥を眺めた後、苦笑した。
「それも迷信だ。古来から陽の光は浄化作用があるとされているからな。そこから来たものだろう」
「なるほど……」
「人ならざる者の中には陽が苦手な種族が多いのは確かだから吸血鬼もそうだとされたんだろう。実際、好まない者は多い」
やれやれ、と蒼は溜め息混じりにそう話した。
様々な迷信が蔓延っているようで呆れているようだ。
「でも蒼、外に出たがらないよね?」
「あの眩しさはあまり好きではないのと、あまり人目につくのは好きではないだけだ」
ああ、と叶弥は納得した。
確かに日光を見ると眩しそうに眉間に皺が寄り、出歩くのは人の少ない夜を選ぶくらいなのでそう言うことか、と。
「……蒼って人間嫌い?」
「人間も吸血鬼もあまり好きではない。他者と関わること自体が疲れるからな。……そんな顔をするな、お前は別だ」
蒼の言葉に段々と悲しげになっていく叶弥を見て、苦笑しながら頭を撫でた。
「俺は嫌いなものを側に置いておく趣味などはない。お前と炎、氷は俺が好んだ数少ない存在だからな」
「本当に……?」
影の差す潤んだ瞳が蒼を見上げている。
「俺がこんな何にもならない嘘をつくと思うか」
「……思わない、けど」
「ならそんな顔は止めろ。叶弥、行くぞ」
ベッドから降りると叶弥の方へ向けて手を差し出した。
叶弥はその手に自分の手を重ね、ベッドから降り、手を引かれて部屋を出た。
「……おやおや、今朝はお早いご様子で」
階段を下りようとした所で、真っ黒な炎が見える様な笑顔の氷と出会した。
どうやら、共に部屋から出てきたのを見ていたらしい。
「まあ……歩けている様ですし、今回は見逃しましょう」
「あっおはようございまーす。どこか行くんです?」
身支度を終えたばかりの様子の炎が部屋から出てきたようだ。
のほほんと挨拶をして笑顔を見せる。
「珍しく早朝に目が覚めたからな。朝の散歩にでも行こうと思った」
そんな会話を聞きながら、叶弥はもの珍しそうに炎と氷を見ていた。
今日は蒼から休暇を言い付けられている2人は、朝の日課である叶弥を起こすことと食事の用意だけする為に起きていたのだが、私服だ。
炎は黒のVネックシャツにグレーの七分丈のジャケットを羽織り、カーキのカーゴパンツを履いている。
対して氷は白いシャツにグレーのカーディガンを羽織り、黒のスキニーを履いていた。
「叶弥様ー?」
「何か気になることでもおありですか」
その視線に気づいた2人が叶弥に視線を向けて問いかける。
「や、2人の私服って初めて見たなって」
「叶弥様がいらしてからずっと仕事着で過ごしていましたね、そう言えば」
「俺たちも私服久しぶりで新鮮ですよ」
「……久しぶりに見ると見慣れないせいか違和感しかないな」
蒼も叶弥につられてまじまじと2人の服装を眺めた。
「そうでしょうね。それより朝の散歩はよろしいんですか」
「ああ、そうだったな。行こう」
そのまま手を引いて階段を降りていく。
叶弥が階段を踏み外さない様にゆっくりと降り、叶弥を何度も振り返った。
ガチャリとドアを開けると朝日が差し込んだ。
その眩しさに蒼はもちろん、叶弥も目を細める。
季節は初夏に近づき始めているが、まだまだ涼しい。
朝などは少し肌寒いくらいだ。
木々の葉が朝露に濡れ、日の光に照らされてキラキラと輝いていた。
「うわあ、蒼見て!綺麗だよ!」
「そうだな」
にこにこと輝く濡れた葉を指差して叶弥は蒼を振り返った。
そんな叶弥を見て、そうだなと小さく笑みを溢す蒼。
走り出しそうな叶弥の手をしっかりと握り、蒼は歩き出した。
「朝の散歩なんて初めてだよ」
「お前は朝が弱いからな」
「そ、そんなことないし……!」
いつも見ているものと少しだけ違う景色に、嬉しくなったのか、はしゃぎながらきょろきょろと周りを見渡す。
普段、登下校で通るだけのこの森の一本道。
木々が生い茂ったこの景色は朝はこんなにも美しいということが、新鮮で楽しかった。
「何か楽しいね!」
「そうだな。叶弥、良いところを見せてやろう」
そう言って、横道に逸れる。
草木で見えなかったが、細い獣道があった。
手を引かれながらその道を数分程歩く。
すると、急に広い場所に出て、叶弥はそこを見渡した。
奥に小さな池があり、その側にベンチの様に置かれた丸太あった。
池の辺りには色とりどりの花が咲いていた。
「わあ……!」
「最近はあまり来ていなかったのだが、炎と氷が手入れをしてくれていた様だ」
「だから綺麗なんだね……!」
キラキラと笑顔を輝かせて、楽しそうに池や花を眺めている。
「ここは、炎と氷を拾って間もない頃に見つけた場所だ。その頃の2人はあまりにも笑わなかったから、2人で遊べるそうな場所だと思ってな」
「そうだったんだ……じゃあ思い出の場所だ!」
「そうだ。だから、お前にも見せてやりたかった」
蒼はそのまま叶弥を連れて丸太に腰かけてその景色を見渡した。
拾ったばかりの頃にここで遊ばせて、この丸太に腰かけてそれを眺めていたことを思い出す。
「これが昔、蒼の見てた景色なんだね」
唐突に、叶弥が口にした。
まだ何も言っていないのに、叶弥は無意識に口にしていたのだ。
「……そうだな。昔、ここに腰かけて2人を眺めていた」
「何か不思議だなぁ」
「今度、2人も連れてここに来よう。2人は大きくなってしまったが、光景くらいは当時を再現出来るだろう」
「うん!」
会話がぱたりと止んだ。
蒼は目の前に広がる景色を眺めていて、叶弥は蒼と景色を交互に眺めていた。
自分の知らない頃の蒼が見ていた景色を、時代や季節、多少の景色の違いはあれど、今こうして隣で見ている。
その事実が嬉しくて、胸が痛いほどだ。
蒼を見上げた時、蒼が不意に叶弥へ視線を向け、お互いの視線が交差がした。
ああ、いつもこうだ。
そう叶弥は思った。
ガラスの様に透き通るような暗い蒼の瞳に見つめられると、動けなくなり、目を逸らすことも出来なくなる。
ただ、吸い込まれそうなその瞳に釘付けになるのだ。
「叶弥」
低く甘いその声に名前を呼ばれたら、胸に甘い痺れが走って高鳴って、嬉しくて幸福感で満たされる。
蒼の細い指が自分の頬に伸ばされ、触れられた所が熱くなる。
その指がすぅ……と撫でるように移動して、自分の唇を撫でられると、もうどうにも言葉にならない感情が沸き上がってしまう。
「そ、う……」
熱に浮かされた様な声で、蒼の名前を呼ぶ。
1年経っても慣れない変わらない。
どうしようもなく叶弥は蒼が好きで、熱に浮かされてしまう。
蒼の指が自分の顎を持ち上げ、蒼の綺麗な顔がすぐそこにあった。
「んっ……ふぅ……」
こんなところで、と。
思うのに、蒼の口付けはとても心地好くて抵抗も何も出来なくなる。
ただただ甘受して、応えることしか出来ないのだ。
「んぅ……う……」
しん、と静まり返り、木々のざわめきと遠くから鳥のさえずりだけが聞こえるこの空間。
叶弥の耳には舌の絡まり合う水音が響いて届いて、全身に熱を帯びていく。
無意識に叶弥は蒼の手を取って自分の大切な部分へと押し付けていた。
口付けを止めないまま、蒼は導かれた所を優しく撫で上げた。
「んくぅ……っ」
寝巻きのズボンにするりと手を差し込んで、下着の上から既に固さを増したそれを優しく揉んだり、撫でたりとして刺激を与える。
それだけで肩をびくびくと跳ねさせ、腰を揺らしている。
「ふぅ……っ……んんぅ……」
口内を犯されている快感と、秘部へ与えられる刺激による快感とで、頭がぐちゃぐちゃになり、目に涙を溜めながら無意識に蒼を求めていた。
ふと思い立って、蒼は下着の上から先端を軽く引っ掻いてみる。
すると、秘部と共に身体をびくびくと震わせて、時折漏れる吐息が一層甘くなった。
その反応を見て、蒼はかりかりと連続して先端へ刺激を与える。
何度もびくびくと震え、下着越しからでも分かるほどの熱を持っていた。
「んっ……ふ……ぅ……うぅ……っ」
蒼の手を握り締め、それは嫌だと訴える。
これ以上、新しい刺激を与えられたらいよいよどうにかなりそうだったからだ。
だが、蒼は止める気配など見せず、するっと下着の中へと指を滑り込ませた。
先端からはぬるぬるとした液体が溢れていて、叶弥の興奮を知らせている。
「んんぅぅ……!んっ……うぅ……ふぅ……っ!」
その液体を先端に塗り付けて、グリグリと撫で回してやると更に身体を跳ねさせて、吐息混じりに喘ぎ始めた。
面白くなった蒼は、強弱をつけてグリグリと刺激してやる。
更に一層、身体の震えが激しくなって、叶弥は蒼の胸を叩いた。
「っはぁ……っ……あぁ……っ!」
息をしながら喘ぐ叶弥。
蒼の手は刺激を与えることを止めず、叶弥のモノを擦り上げたり、先端を撫で回したりとしていた。
「やっ……ぁ……!」
「お前はこんなのも好きなのだな」
「ち……が……こんな……のしらな……っ……あぁっ!」
反論したいのに喘ぎ声に変わってしまって、何も言えなくなる。
蒼の手を止めようとして掴んだ叶弥の手は、蒼のもう片方の手に掴まれてしまい、抵抗さえ出来なくなった。
「昨晩はキスだけで止めてしまったからな。朝はしっかり気持ちよくさせてやろう」
「や……だぁ……っ」
嫌じゃない。嫌なわけがない。
叶弥は蒼から与えられる快感が好きで、無意識に求めてしまう。
口からどれだけ否定の言葉が出でも蒼が止めないのは、叶弥が求めていることを理解しているからだ。
手で刺激することを止めないまま、叶弥の手を掴んでいた手を離して、叶弥のズボンの前だけを下にずらした。
ピンクに染まった叶弥のソレは上を向いていて、蒼の手によって玩ばれていた。
「そろそろ限界なんだろう」
「んぁ……っ……くぅ……っ」
蒼はそこに跪いて、叶弥の張り詰めたモノを咥えた。
根元を手で何度も擦り上げ、口を上下に動かしながら舌を絡ませる。
「あっ……だ……めぇ……だめだ……ってばぁ……っ!」
一生懸命、力の入らない蒼の頭を押さえて離そうとする。
だが、元から蒼よりも力のない上に今は更に力の入らない叶弥の抵抗など無意味。
「ほんっ……とに……イッちゃ……!」
その言葉を合図に蒼は少しだけ動きを早めた。
「そ……う……っ……だめ……ぇ……!んっ……あぁっ……!」
びくびくと腰を跳ねさせて、蒼の中に勢いよく吐き出した。
一滴残らず蒼は飲み下し、更に残りを絞り出す様に何度か擦り上げて、吸い上げた。
「蒼の……ばかぁ……っ……早く離して……」
何故か口を離さない蒼に何か嫌な予感のした叶弥は急いで離そうとしたが、蒼はびくりとも動かない。
吐き出したばかりで固さを失った叶弥のソレの先端を蒼は刺激を始める。
先端を舌でグリグリとこねくりまわし、先端だけを何度も口の中で出入りさせた。
「あっ……やっ……待っ……変な……っ」
先端がじんじんとして、いつもとまた違う感覚だった。
込み上げるのは射精感ではなく尿意だ。
「おねが……離し……蒼……っ!」
ちゅぷちゅぷと音を立てて、執拗に攻め立てる。
「やっ……おね……やだぁぁ……っ!」
我慢していた叶弥は耐えきれずに蒼の口の中に少量放ってしまった。
蒼はそれさえも躊躇わずに飲み干した。
「さすがに変な味だな」
「もっ……ばか……だめって言ったのに……!」
顔を真っ赤にさせて泣きそうな顔で蒼に怒るが、蒼には可愛らしい姿にしか映らない。
「潮を吹くのは初めてか」
「初めても何も……蒼が全部初めてだよ……っ!」
「俺もこんなことをしたのは初めてだが。お前の身体はどこまでも淫らだな」
「そ、蒼のせいだから!」
「悪かった悪かった」
宥めるように叶弥の頭をポンポンと撫で、ズボンを上げてやった。
「蒼……どこでそんなの知ったの……」
「俺は基本的に炎と氷の行為で学んで後は自分で勝手に思い付きのまま動いているだけだ」
「……はい?」
返ってきた言葉が予想外すぎて言葉が出なかった。
何を言っているのかが理解出来ない。
「俺の耳には2人の声が届くからな。2人が仕事から離れたら切る様にしているが、たまに切り忘れることがあるんだ。そう言う時に聞こえたものを参考にしている」
2人の声が聞こえるのは初耳だった。
「え……」
「知識として潮を吹くということしか知らなかったから、試行錯誤してみただけなんだが上手くいったな」
「も、もしかして今までのも……?」
蒼は何を当たり前のことをという顔で叶弥をまじまじと見た。
「つい先程伝えたはずだか」
「な、何を……?」
「俺は他者を好まないと。そんな男が経験があると思うか?」
「手慣れてたからあると思うじゃん……」
「残念ながら2人を参考にして、後はお前の反応を見ながら色々と手を変えていただけだ」
ぱくぱくと口を金魚のように開閉させ、蒼を見た。
色々と衝撃的だった。
「ああ、何故だか分からんが嫉妬して拗ねて1人で泣いていたようだが、無駄な心配だったな」
「意地悪……!」
「俺に隠れて泣いておいて何を言う」
「うっ……」
「さて、そろそろ帰ろう。炎と氷が心配し始める頃だ」
蒼はまた来たときの様に手を差し出した。
膨れっ面のまま、それでも叶弥は蒼の手を取った。
手を取らない選択肢は存在せず、どれだけ拗ねていても怒っていても、蒼に手を差し出されたらその手を取り、名前を呼ばれれば返事をする。
蒼に対してだけは、どんなことがあっても応えてしまうのだ。
「今朝はお前の好きな卵のサンドウィッチだそうだ」
「じゃあ早く帰ろ」
「分かったから急ぐな」
朝日の眩しい道を、2人でゆっくり歩いて帰った。
ただ、この幸せを噛み締めて叶弥はまた1日頑張れるとそう思った。
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