アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
白神高校の朝
-
りんねが通う白神高校、略して神高のバスケ部の朝は早い。
HRが八時半から始まるところ、朝練が七時半頃からある。
りんねの通学時間は三十分余りで、朝食やら支度やらを済ませるのにまた三十分程要する。
つまり、六時半より早めに起きればいいわけだ。
が、これが厳しいらしい。
圧倒的夜型人間のりんねは、九時起きで十分早いと言う程に、朝が弱い。
昨日だって、入部して初めての部活を四十八分遅刻し、先輩に喝を入れられたばかりである。
目覚まし時計のスヌーズ機能すらも意味を持たないりんねにとって、唯一の手段は。
ピリリリリリリリリリリ。
スマホの着信音と共に、りんねはむくりと起き上がる。
着信音が鳴って五秒経たずして、りんねはベッドから離れることができた。
「もしもしぃ、おはよ晶」
「おはよ。……出るの早くない⁉︎」
そう。いわゆる、モーニングコールである。
りんねは、彼からの電話は十秒以内に出る。
そんな彼の習性を考慮して、晶が提案したのだ。
晶自身は、いくらりんねでも寝起きだとそこそこかかるのでは、と踏んでいたが、そんなこともなかった。
「ん。晶だし」
「そっか。ありがt……なんでわかるの⁉︎」
「へへ、秘密」
これで、りんねが朝練に遅刻することはあり得なくなった。
「じゃ。そろそろ切るわ。サンキュな晶」
「うん。またあとでね」
ツ、と電波が解ける音。
晶は携帯を置くと、ふらふらとベッドに倒れ込んでしまった。
「ねむい……」
そう。
モーニングコールを提案した晶もまた、夜型であった。
この後滅茶苦茶二度寝し、遅刻ギリギリで学校に駆け込むことになるのだ。
遠のく意識の中、りんねの声が残響した。
HR後の小噺。
トゥルルルルルルルルルルルル。
トゥルルルルルルルルルルルル。
トゥルルルルルルルルルルルル。
「あれ、りんね出んの?」
「ん、だってこれ晶じゃないし」
「こわぁ」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
3 / 9