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白神高校の生徒たち1
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「おーい、りんね。寝るなー起きろー」
長めの黒髪にセンター分けの少年に呼びかけられ、りんねは目を覚ました。
「んん……。ゆーは、黙ってろ」
「はっ⁉︎ お前が黙れ糞ヤロー! ……お前さ、いい加減マトモに授業受けたらどうなの?」
「いい。授業は寝るためにある」
「おい」
劣等生の抽象化のような発言をかましたりんねに、同級生の杉沢悠葉は呆れるばかりであった。
「訳わかんね……。これで成績優秀なのかよ」
「悠葉よりはな」
「しばくぞ」
むくりと上体を起こし、伸びをするりんね。
満足に寝られたのだろう、目の下には隈のかけらもない。
欠伸をしたところで、ようやく悠葉に目をやった。
いつも通り、きりりとした表情だ。
整った顔立ちのお陰か、女子からの人気が高い。
「しゃあないだろ。夜寝れねえんだよ」
「ほーん。でも寝ろ」
「無理だって。寝ても目覚めんだよ、夜は」
夜型故の生活習慣である。
りんねにとっては修正しにくいものらしい。
「でも小学時代は割と起きてたやん……」
「うっせ。……ん? そんなん持ってたっけ、お前」
悠葉のペンケースには、小さなマスコットのキーホルダーが付いていた。
見た目から判別がつかないが、多分、犬のマスコットだ。
可愛らしいデザインをしており、悠葉の好みとは少し違う。
「あ、これ?これねえ」
悠葉の顔には、先程までのきりりとした表情の面影はない。
ニヤニヤしながら鼻の下を伸ばしているばかりだ。
「修弥がくれたんだぁ。誕生日とかでもないのに、あげたいから、って」
彼の視線の先には、懸命にノートをとっている富永修弥の姿があった。
りんねは修弥の事をよく知らないが、悠葉にくっついて行動しているのをよく見かけた。
「ふぅーん。よかったじゃん」
「だろ?」
この上なく幸せそうな悠葉を横目に、りんねは授業に戻った。
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