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晶
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五時間目の古文、とか。
眠くなって、全然集中できなくなっちゃうや。
教科書の文字列を目で追いながら、りんねの表情や仕草を回想する。
パンを半分こにした時の、すうっと長い指と。
伏し目に添えられた長めのまつ毛。
単純な僕はただ、まつ毛長いなあなんて思っちゃって。
少女漫画かよ、なんて自分に突っ込んでみたり。
友達、なんだろうけど、な。
落ち着かないと言ったら違うけど。
とくんとくん、って心臓がうるさくなる、この感じ。
なんか。
……変なの。
チャイムの音がして、寝落ちしてしまったことに気付いた。
序盤で寝てしまったせいで、授業の内容はまるで覚えていない。
あーあ。文系、まるでダメなのにな。やっちゃった。
復習でちゃんと覚えられる気がしない。
まあ、りんねなら、教えてくれるかな。確か古文は得意だった気がするけど。
でも忙しそうだったら、多分
「晶」
ゆったりとした声の方を向く。
晶が物心ついた頃から一緒にいる、いわば幼馴染の少年。
彼の気怠げな目は、まるで風景を眺めるように焦点が朧げだったが、確かに座ったままの晶を見ていた。
「次、移動だから」
「うん。行こっか」
瑞斗に頼めばいいや、ととりあえず結論付け、小走りで教室を出た。
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