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部活1
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バスケ部の朝は早い。
そして、下校も早い。
「ういーミヤホシ、ランニング一周サボらね? なんか顧問うとうとしてるし」
「んー。まー今日は筋トレまではサボれるよあの寝顔は。いいっすよね先輩?」
「もち。五時過ぎには上がりだな」
見ての通り、サボり常習犯だからである。
顧問の監視が甘い時には徹底的にサボる。
目が光っている時にはそこそこ真面目に取り組む。
白神高校バスケ部の誇り高き伝統だ。
そんな調子で、あっという間に実戦形式の練習に突入する。
試合は楽しさ故に全力でやるようで、第一、二クオーターだけでも両チーム得点が多かった。
そして、第三クオーター。
三年の、百八十五センチはあるだろう長身の先輩(りんねは名前を覚えていない)が樹李のパスをカットし、速攻。
あっという間にリングの下へ駆け込み、シュートを放つ。
が、ボールは彼の手を離れた次の刹那、誰かの手に受け止められ真反対のリング目がけて速度を増していった。
樹李である。
「ミヤーーーー!! 取れーーーーー!!」
怒号のような声を添え、力ずくでボールを投げる。
その先でまたボールを受け止めたのは、りんねだ。
スリーポイントの丁度外側、そのままシュートしてもよかったのだが、また名前を知らぬ二年の先輩が立ちはだかる。
一対一。
すると、それまでまだ眠そうな目だったりんねの表情が一変した。
ただリングを見据え、すう、と一呼吸おく。
右、左と脚に力を入れたジャブステップ。
それ自体は単純で簡単に見透かされてしまった。
が、やはり一瞬の遅れが生じる。
その隙間に無理やり突っ込んで、琥珀飴色の床を踏み締めた。
心地よい浮遊感に一歩遅れた、ボールがネットを掠める音が残響した。
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