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「ほんと美味しそうに食べるわねぇ」
店長は俺を見ながらそう呟いた
「とっても美味しいです!どんなけでも食べれます、店長のご飯大好きです」
俺は店長に作ってもらった賄いのオムライスをスプーンいっぱいにすくい口に入れた。
「もう楓くんったら、そんなに褒めても何も出ないわよ」
そう言って厨房へ戻っていった。
奥からはフライパンを譲る音が聞こえてくる。
俺は最後の一口を口に入れた。
もうなくなってしまった。夢中で食べてたからあっという間だ。
ご飯を食べ終わるといつも寂しい気持ちになる。
食べることがすごく楽しいからそれが終わってしまうと謎の喪失感がある。
「ほら、これも食べなさい。まだまだ足りないんでしょう?」
店長は厨房から戻ってくるとフライパンの上のケチャップスパゲティをオムライスが元いた皿にのせた。
「てんちょぉ〜!!!愛してます!!一生ついていきます!」
俺はそう言い座ったまま店長に抱きついた。
ふわふわした体を抱きしめ頬を擦った。
「こら、危ないでしょ!私フライパン持ってるんだからもう、ほんとに….」
そういい俺の頭を撫でた。
俺は顔をあげ店長の顔を見てにこっと笑った。
店長のお陰でまたあの楽しい時間に戻れる。
「あんた、大学生にもなって口の周りにケチャップつけてるんじゃないわよ」
そう言って俺の口をティッシュで拭った。
「えへへ」
俺はそういい頭をかいた。
ついつい楽しんでると食べ方に意識がいかなくなってしまう。
よくないとはわかってはいるけど夢中なんだから仕方ないだろ?
俺は皿の方に体を向け両手を合わせた。
トマトの酸っぱい匂いが鼻を掠める。
口の中で涎が生成されるのを感じる。
「いただきます!」
俺はそういいスパゲティを口へ頬張った。
カランカラン
「いらっしゃいませ〜お好きな席にどうぞ〜」
店長は来店したお客さんにそう伝えると厨房へ戻っていった。
今は3時を回ろうとしている。
こんな時間に洋食しか出ないこの店に客が来るなんて珍しい。
その男は俺の右前の2人がけ席へ腰を下ろした。
俺と机違いで向かい合わせになるような形なので必然とお互いの顔が見える。
すごいイケメンだな….なーんか見たことあるような…?
まぁそんなことどうでも良い。
俺はスパゲティをくるくるとフォークに巻き付けた。
「ご注文はお決まりかい?」
店長はその男の机にお冷を置いた。
「こんな時間なのに俺以外の客がいるなんて驚いたよ」
その男は俺の方を見て店長へそう話しかけた。
「こいつはここのバイトでね、今は休憩中で賄いを
食べさせてたところだよ」
「ふーん….どーりでそんな不味そうなパスタを食べてるわけだ」
「はぁ?お前何言ってんの????」
俺は気づいたらその男の胸ぐらを掴んでいた。
「ちょっと楓やめなさい。お客様よ」
「店長、こいつ頭おかしいんで追い払った方がいいですよ」
「頭がおかしいなんて、心外だな。俺は見たままを言ったまでだよ」
俺は掴む力を強め上にあげて顔を近づけた。
「店長の料理を侮辱するならここの客とは呼べない、今すぐ出てけ、この店に二度と顔を見せるな」
そういい俺は投げ飛ばすように離したがその男はびくともせずに襟を直しはじめた。
パシッ
俺は店長に頭を優しく叩いた。
「気持ちは嬉しいけど言い過ぎよ」
俺は店長を見て納得いかないという顔をしたが無視された。
「ねぇ、注文いいかな」
さっきの男は何もなかったかのように店長へ声をかけた。
「おまえ何言っ」
「楓はスパゲティ食べてなさい」
店長はそう言ってそいつの注文を取り厨房へ行った。
こいつどんな神経してるんだ。
本当にありえない。絶対友達になれないタイプだ。
俺はあの男を睨んだ後巻きかけのスパゲティをもう一度巻き直し大きな塊にした後口へ運んだ。
最高に美味しい。
俺はもう一度同じサイズの塊を作り頬張った。
「…..へぇ」
声が聞こえた方を向くとあの男と目があった。
「何見てんだよ」
「いや、別に。ただ美味しそうに食べるなと思って。君、この店で働いてるって言ってたよね」
この男は少し身を乗り出し俺に話しかける。
何なんだこいつ。
急に態度変えやがった。
「そうだけど何、きもいんだけど」
「ねぇ君うちで働かない?ここの倍、いや3倍は出すよ」
……..何言ってるんだこいつ。
「おまえ頭大丈夫か?」
「俺は真剣だよ、君に惚れたんだ。楓くん」
は….?惚れた….?何を言ってるんだこいつは。本当に。
「おまえ頭大丈夫か?」
「それ2回目だよ。楓くん」
「本気で何を言ってるんだ?」
「君の食べてる姿を見て興奮したんだ。口いっぱいに頬張る君はとても素敵だ。初めてだよこんな気持ちになったのは」
俺はその言葉に恐怖を感じた。
こいつおかしい。ゲイなのか??
「ねぇ、とりあえずLINE交換しない?お友達からでもいいから、お願いだ」
そういい俺に近づき俺の顔の横に手をついた。
俗に言う壁ドンというやつだ。
こんなイケメンにされたらそこらへんの女なら簡単に惚れてしまうだろう。
「ね?」
「丁重にお断りさせて頂きます。」
俺はそう言ってこの男を押し退けた。
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