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78 《晴》☆
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《晴》
ズグは大丈夫と言っても、ソワソワして俺にまとわり付いて離れない。
う……拷問だ!
ズグはそんな気なくても、ピッタリと密着して、涙目で俺を見る!
そんな目で見られたら、ヤリタイ気持ちが……!
………ダメだ!限界!
「ズグー、ちょっとたんま!
トイレに行きたい!」
「うーー!!」
涙目で俺にしがみ付く。
「5分!5分で戻るから!」
無理矢理引っ剥がして、トイレに駆け込む。
………危なかった…。
処理を終えて、落ち着く為に深呼吸する。
トイレから出て来たら、ズグはトイレの前で蹲って泣いていた。
「ズグ……ごめんな?」
言っても顔を上げない。
怒ったように抱き付きもしない。
………泣き方がいつもと違う?
「ごめんな?」
不安……なのかな?
それとも哀しい事思い出してんのかな?
そっとズグを抱き上げてソファに運んだ。
「ズグ?
ズグ、俺がわかる?」
何度も呼んで、やっとズグが俺の方を見る。
「……あー……」
そのまま首にしがみついた。
「俺が居るよ。
もう大丈夫だよ?
ほら、雨も止んだ。
にわか雨だったんだ。
お日様が顔出したぞ?」
ズグが窓の方を向いた。
「……あーー!」
嬉しそうな顔でバンバン俺の腕、叩く。
雨止んだ!って今にも言いそう。
「やっと笑顔になった。良かった!」
窓の方を指すから、抱いて移動した。
辺りは東に黒い雨雲と西には青空とあかね雲。
夕日が眩しい。
「あーー……。」
その光景にズグは見惚れている。
「……晴れたなー、明日は天気だな。」
「あー?」
「ズグも天気良いのが好き?
俺も好き!
知ってる?
俺の名前、晴れるって言う意味で付けられたんだ。
はるって言う名前は、哀しい事や辛い事があっても、雨が止むようにいつも人生晴れますように、って。」
ズグは真面目な顔して聞いてる。
「だから俺は晴。
って言ってもズグは呼んでくれないもんなぁ。」
「……あー?」
ズグが俺の方を指指す。
「うん、そうだよ。
はる、晴だよ。」
「あー!」
「そう言えば……ズグって店主が付けた源氏名……だよな?
グズから名前付けるなんてひでぇよなぁ。
ほんとの名前は何だろうな?」
一つでもズグの事知りたい!
「俺は晴。
晴だよ?」
自分を指指す。
「ズグは?
ほんとの名前は?」
ズグを指指す。
ズグはキョトンとしてる。
「わかんないか。」
まぁなぁ……
ほんとの名前が、ズグよりも悪い、もしくはトラウマ、って言う事もあるもんな。
「あー?」
「よし!決めた!
名前付けようか?
2人だけの名前!」
いつまでもズグ、ズグ言ってんのも何だかなー。
ズグはますますキョトンとしてじっと俺を見る。
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