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89 《晴》☆
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《晴》
スイが攫われた。
ボコボコにされた。
自分の力の無さが情けなかった。
「晴……立るか?
医者に行こう。
話はまずそれからだ?」
先輩が労わるようにそっと肩に手を置いた。
先輩に連れられて、医者に行く。
医者では、適当に絡まれて気に食わない、ってんでボコボコにされた、俺も悪かったからあんまり大事にはしたくない、と嘘を吐く。
相手の人相はわからない、場所も時間もデタラメ言う準備は出来てたが、
医者は事なかれ主義なのか、それ以上詳しい事は聞かなかった。
包帯と湿布だらけにされて、帰る。
「晴……コーチクの事、警察に任せよう?
それが一番いい。」
「ダメだ!
ダメです!先輩!!」
「何故?
警察の中に息の掛かった連中がいる、って言うのはハッタリかも知れんぞ?」
「そうじゃ無いかも知れない!
スイを危険な目に合わせたくない!」
うぅ……喋ると口の中が痛い!
頬が腫れてんのが自分でもわかる……。
「まぁ……何にせよ、休め。
医者は熱が出てくるかも、と言ってたし。
会社の方は適当に俺から連絡しておくから。
近藤に言って、コーチクに探りを入れてもらおう。
大丈夫だ。」
「でも……!」
ダメだ……!
やる事いっぱいあるのに……!
でも
でも……
医者から痛み止め点滴してもらったから、スゲー眠たい………
オマケに痛い!
こんな事してる場合じゃねーのに…….!!
スイ………
スイが………泣いてんのに………
気付いたら、朝だった。
寝苦しくて、痛くて喚いてたのが何となく覚えてる。
「目、覚めたか?」
先輩が昨日のままの格好で、腕まくりしてやって来た。
「せんぱいー……」
「5時頃、痛み止め飲んだからな。
今は痛みはマシだろう?
一応お粥作っといた。
後で食え。」
先輩、泊まってくれた?
「那月くんは…….?」
「連絡済みだ。
俺は仕事に行くけど那月が様子見てくれるからな?
それと近藤に連絡した。
近藤が懇意にしてる仔猫が昨日入ってたけど、仔猫の話によると今の所、コーチクに動きは無いようだ。
スイも監禁されてるが、無事だ。
動きがあったら、仔猫から近藤に連絡入るから大丈夫だ。」
「先輩……。」
「もっとも俺は警察に任せるのが一番だと思ってるがな。
じゃあ行くよ。
大人しく寝てるんだぞ?」
うぅ……。
でも先輩、俺の看病しながらそれだけの事やってくれたんだ。
「先輩……ありがとうございます……」
「……止せ、気持ち悪い。」
照れてるのが丸わかり。
「先輩ー、顔、紅いっすよ?」
「うるせ。」
可愛い、先輩。
「じゃあな?
くれぐれも大人しく寝てるんだぞ?」
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