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空白を埋める(※嘔吐、眼孔姦、拷問等注意)
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元来、目というのはどの生物においても急所なのだ。そこを吹っ飛ばされたとなると、いくら肝が据わっていようがダメージを受けて然るべきだろう。……それは、こちらを睨んでいる生意気そうな男にとっても例外ではなかったようで。無様にぶら下がっている、焼けただれてちぎれてしまったらしい瞼の残骸から覗く空洞に、普通は収まっているはずの目玉は見当たらない。激しい痛みと混乱の中で、片目を撃たれたという状況を理解するまでに彼の明晰な頭脳は何秒要したのだろうか。最も、そんなことは考えたくもないのだが。今この場にいるのは俺を含めた四代早乙女会の4人と柊會の若頭であるこの男、桐生千秋の計5人だ。今回の抗争では沢山の仲間が逝ってしまったのだ、仇をとる為にもこいつには地獄を見せねばなるまい。下っ端の俺がこの場に呼ばれたのは、親友のシゲもコイツのせいでいなくなったからだった。泣いてるところを慰めてくれて復讐の機会まで設けてくれた若頭補佐の拓磨さんと、同席を許してくれた組長、そして若頭のヒロさんには感謝しかない。長年の宿敵である柊會の若頭を捕らえたとのことで、特にヒロさんはかなりの興奮状態にあるのが見てとれる。
「お前、桐生千秋とか言ったな」
「……………………」
「組長が話しかけているんだ、なんとか言ったらどうです?」
今からこいつがどうなることかなんて、俺でも分かった。それが若頭ともなれば考えるまでもないだろう。それなのに、この期に及んで一切口を開く素振りすら見せないのはプライドの表れなのか、それとも……。
「聞いてんのかァ?おい……怖くて口もきけねぇのか、ア゛ァ?!」
「ッ……!」
ヒロさんの蹴りが腹に直撃する。げほげほと咳き込む様子からは、その威力が伝わってくるようだ。
「……俺には他にもやることがあるもんでな。そいつはお前らが好きにしてろ」
「「はい、組長」」
「はっ、はいっ!」
組長が離席すると、待ってましたとばかりに口を開いたのはウチの若頭だった。
「なァおれ、いいこと思いついたんだよ。もう"アレ"しようってな……お前今から何されると思う?」
そう言うと、次に聞こえてきたのは自身のベルトを弄る金属音だった。一体何をする気なんだろう……ションベンでもかける気なのか?ちらりと拓磨さんに目をやるも、品のある微笑みで返されるだけに終わる。若頭補佐ともなると、ヒロさんのやることなんて手に取るように分かってしまうのかもしれないが、こちらとしてはもう少し説明がほしいところだ。
「「?!」」
取り出されたブツを見て、俺も桐生千秋も思わず驚嘆の声をあげる。……血管の浮き出た真珠入りのそれは、男の前に差し出すには不相応なくらいに怒張していたからだ。後で聞いた話、ヒロさんに限らず抗争直後は興奮でおっ勃ててしまうヤツも少なくないらしい。特に、今回みたいにド派手にドンパチやった日には……抗争後に一時的に距離が近くなるヤツらがいるのはそのせいか。ところで、なぜそれを見せびらかす必要があるのだろう。……デカいからか?でも今コイツに自慢する必要性は?
「よーく見ろよ……ほら……よく見てろ……」
にやにやと悪辣な笑みを浮かべるヒロさんとは対照的に、心做しか青ざめていく桐生千秋を見て首を傾げる。奥歯がかちかちと震え出したあいつは、何をされるのか理解したようだ。
「ひっ」
喉奥から小さく漏れ出た悲鳴にはたすけての文字が隠れているかのようで、なんだか分からないが相当ヤバいことが起きるであろうとだけは予想がついた。……その10秒後、俺の口は暫く塞がることはなくなるのだが。何故かって、ヒロさんはそれを見せつけたあと、挿入したからだ。どこにって、ぽっかり空いたその……眼孔に。
「や、やめ……ア゛ァ゛ッ!うグッ……ひぎっ?!」
そこからは悲惨だった。桐生千秋が顔中の穴という穴から体液をしとどに垂らして呻き声をあげているというのに、気持ちよさそうに口角を釣り上げるヒロさんと、それを止める気配もないどころかにこにこといつものように微笑む拓磨さん。空気を劈いて泣き叫ぶような声が耳に纏わりついて離れなくて、気を抜けばこっちまで泣いてしまいそうになる。それでも最後まで楽しんだウチの若頭は余程満足したのだろう、引き抜いた穴から吐精したあとが見えた頃には、既に俺は腰が抜けていた。
「あぁ、君は……初めてでしたっけ。これを見るの」
「ア゛?んだよ、知らずに着いてきて腰抜かしてんのか?世話ねえな……ウチの名物(笑)なんだぞ、今のうちにしっかり見て覚えろよ」
そう鼻で笑われて、サッと血の気が引いていく。名物?こんなに狂った光景が、ウチの名物だと?貴方も初めて見た時は腰を抜かしていたでしょう、なんてクスクスと笑う拓磨さんからは、今まで感じていたような知性も品格もなくなったように感じた。……ただの、下衆だ。
「というか、前々から口酸っぱく言ってきたはずですが……またつけずにしましたね?」
「チッ、うるせぇな」
「病気になっても知りませんよ」
拓磨さんがポケットから取り出したものを見て、思わず目を疑った。それは桐生千秋も同じなのだろう、片方だけとはいえ目を見開いて、ほぼ原型を留めていない謝罪の言葉をブツブツと口走っている。
「ごごごごめッごめ、なさ……いごめんなsごめんなさいごめんなさい!も、やめッ」
「さっきまで無口だったというのに、随分饒舌になりましたねぇ。まあ、だからといってやめるつもりは毛頭ありませんが」
冷たくそう言い放たれて、ぼろぼろと大粒の涙を流すソイツと目が合ってしまい、思わず半歩後ずさる。恐怖ともうひとつの感情で、殆ど心臓の音しか聴こえくなった__可哀想なその眼差しに射貫かれてしまったことを知覚した時には、彼は二度と口もきけなかったのだけれど。拓磨さんの手に握られたものは、コンドームだった。ゆるゆると穴にピンク色の昂りを擦りつけてからゆっくりと挿入していく様は酷く美しく紳士的で、狂ってる、と思った。
「がはっ!、ぐす……アぁあ゛っ?!ひぐっ、ぅっうぅ……」
「ふうっ……ふぅ、〜〜ッ!」
「ン、あっ?!あつイ、!あつ」
「はぁ……」
長い長い時間が経ったように思う。ようやく抜き出された頃には、桐生千秋の眼孔は目も当てられないくらいぐちゃぐちゃになっていた。
「う゛っ、うぅ〜……」
「おや、泣いているんですか。情けない」
「ダッセェー!あ゛ははははっ!」
子供のように無邪気な笑い声が無機質なコンクリートに木霊する。ついさっきまでこれ程なく尊敬し信頼していたこの2人は、もはや悪魔にしか見えない。絶望している俺にはお構い無しに器用にコンドームの口を結んで、一言。
「舐めなさい」
彼は一体、何を言っているのだろう。舐めろ?そのコンドームを?……ついさっきまで、己の眼孔を犯していた、血と精液まみれのコンドームをか??頭が可笑しい要求に、疲れきった様子の彼は何も言わずに従った。チラチラと覗く舌は唾液が糸を引いていて、てらてらと光っている。
もう、限界だった。
「え゛ッお゛ぇ、げぇ!ごほっごほ」
ごぽりと腹の奥から嫌な音がして、ビシャビシャと吐瀉物が落ちていく。ツンと鼻を突く臭いが最悪だ。それでも自分の意思では止まらなくて、どんどん床を汚していった。
「……おや、刺激が強かったんですかねぇ」
「どーでもいい、ンなことより聞くことあんだろ」
「あぁ、そうでした」
今度は舐めさせていたそれを咥えるように促し、尋問が始まる。が、もはやその内容は俺にはどうでも良いことだった。ただ、外の空気を吸って眠りたい。……胃の中が空っぽになっても、今度は胃酸が吐き出されるだけで苦痛からは逃がしてもらえなくて。苦くて酸っぱくて、舌が軽く痺れてくる。暫くは喋るのも億劫だ。遠くで、首縦か横に振って答えろ、それ落としたら耳千切んぞ、などと宣うドスの効いた声が聞こえた気がするが、とめることはできなかった。
「ここまでされても口を割らないのですか……」
「うぇーキモ。さっさと吐けよコラ」
「あがっ!」
パキッと嫌に軽い音が耳に入って首を上げると、桐生千秋の指がありえない方向に曲がるのを視界の端で捕らえた。
「あ?おいゴム落としやがったな」
ヒロさんは有限即実行の男だ。ここから先は言わなくても分かるだろうが……耳は案外脆く、強く引っ張ったら千切れてしまう、とだけ。……あぁ、あの時勇気を出してあの2人を撃っていれば、彼を連れ出して逃げていれば……俺の初恋は、あんなにはやく終わらずに済んだと言うのに。
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