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8日目、すたーと。
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梅雨の終わり、ジメジメした朝。
「あ、ももちゃん」
「あ、かいちゃん。
………、と、遼哉?」
「………っす」
初対面だったらしい二人が初めて言葉を交わしました。
「えーっと、こいつは蛤谷桃雅。俺の友達で藤之木さんとすごい仲いいんだけど……まぁそれでなくとも有名だから知ってる?よ、な?」
「知ってる。………、ども」
「んで、つい最近友達になった大名遼哉。は、ももちゃん知ってるよね」
「もちろーん、よろしくちゃん遼哉!」
言うがはやいかももちゃんは遼哉の手を取りブンブンと振り回して握手(らしきもの)をした。あ、遼哉すごい顔死んでる。
とりあえず初対面らしかったので俺が仲介人となって紹介し合った。まだ遼哉の堅さはとれていないけど、ももちゃんはいつものテンションでお構いなし。温度差が激しい気がする。
……、お?あのダッシュで校舎入ろうとしてんの笠井?あ、こっち気づいた。あ、こっち来た。満面の笑みだ。
「よーっす!桃雅に魁輝じゃまい……、か?あれ?お?お?おおおお!?これはもしや遼魁フラグか!?と思いきや遼哉と手をつないでるのは桃雅だと!?」
ジメジメした朝にも関わらず相変わらずのテンションだ。むしろほとんど一年中そんなテンションでいられる笠井は尊敬に値すると思う。あれ?そういえば確か笠井は遼哉と仲良いんだっけ?
するとやっぱりももちゃんに対する固まった態度とは違う砕けたいつもの態度の遼哉が顔を除き、笠井を心底だるそうに見ていた。
「うるさい笠井」
「ぎゃっはははははひでぇ!!!!てか桃雅に人見知り発動しまくりだったお前にそんな態度取られたくねぇ笑える!!!だっさ!!!!」
「えっ、人見知り発動してたの?まじで?ごめんオレ今くそなれなれしかったわ。じゃあ改めてATフィールド全開でよろしく遼哉クン!」
盛大に吹き出す笠井と、さっきから変わらないニッコニコの笑顔でまた握手しようと手を差し出すももちゃん。恐る恐る遼哉がその手を握ると案外普通の握手で遼哉も戸惑っていた。戸惑うと同時に、にこにこ笑うももちゃんを見てなぜか不思議そうな顔をして少し首をかしげた。
………ん?てか待てよ、遼哉が人見知り?って言ったよな?あの魔王様が?マジで人見知り?俺んときすごいキレてね?そんな人見知りの欠片なんて微塵もなかったけど?え?なんで?怖い
「……あ、ていうかももちゃん遼哉と初対面だったんだね、あんなに全然知ってるよオーラ満載だったのに」
「だって知ってるし?玲華によく話し聞かされたりよく見かけたりまぁいろいろとさ、知る機会なんていつでもゴロゴロと転がってんのよ。相手はオレの事知らなくとも」
「あー、なるほど」
笠井が納得すると、笠井とももちゃんの目が合い次の瞬間何を企んで何をわかりあって何をテレパシーしたのか知らんが、二人はニヤニヤし始めた。あいつら変なこと考えてるだろ絶対。それ以外ありえねぇ。なんだあいつら。
するとやはり二人はニヤニヤしてうふふえへへと言いながら、
「それじゃあ俺らはおじゃまでしょうしぃー!」
「おじゃま虫なオレらは退散しまーす!!」
そんじゃ!いえーい!!と言って二人は心底楽しそうにルンルンに走り出し校舎に入っていった。
二人の姿が完全に見えなくなったとき、遼哉はやっと口を開いた
「……、なんか、話に聞いてたより暗い奴だな、蛤谷桃雅って」
「え?」
ももちゃんが?確かに最近は元気ないけど……。
「あ、それより遼哉、ガトーショコラ好き?」
「え?あぁ、別に嫌いじゃない……けど、なんで」
「そっかぁ!よかった、今度作るケーキはガトーショコラにするね!楽しみにしてろよ!」
「……(きゅん)、…………、………おう」
よし、じゃあ材料買って練習しよ!がんばろ!!
すたーと。
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