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16日目、始まる。
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『もしもし魁輝?今日遊べる?』
『俺はいつでも暇だよー』
『よっしゃ!じゃあ魁輝っち行くわー』
さて、夏休みである。
夏休み前日、登校最終日。
明日夏休みに入るということもあり生徒たちは皆浮き足立っていた。
特に常日頃から浮き足立っているようなこのクラスの浮き足の立ちようは尋常ではない。朝から教室の中でサッカーボールや雑巾が飛び交い、もう一足早く休んでるやつもいる。担任が入ってきても構わず誰一人として自分の席にはいないような状況。
「笠井とももちゃんは夏休み何すんの?」
こちらももちろんこのクラスの生徒である。よって3人は席にはつかずロッカーの上に座ったりその周りにたむろっていた。ちなみにロッカーの上に座っているのは笠井菜緒である。
「俺はもちろん部活だな。あとは祇園祭くらいしか用事ねぇかも……、やべぇ虚しいよおおおおおおおお休みあったらカラオケ行こ!!!!」
「おうおう、オレはいつでも多分フリーだから誘ってー。寝てたら無理だけど」
「お前は女遊びと男遊びで忙しいんだろ」
「さっすが、よくわかってらっしゃる」
2人のくだらなく桃雅の聞き捨てならないような発言が飛び交う。途中クラスの者たちが投げていたチョークの粉をまぶしつけたサッカーボールが菜緒の腹に直撃し「テンメッ……!セーフク汚れたじゃねぇか洗うの俺なんだぞ!!!!」と言ってロッカーの上から飛び降りて乱闘に参戦し始めた。
ここでさらりと会話の中に紛れて出てきた祇園祭のことについて説明しよう。
この地域では有名な、商店街で大々的に行われる祭である。その地区内の町ごとに山車を引き、ドンチャンドンチャン朝から晩まで騒ぎ倒し、昼から歩行者天国になる商店街の道路は人で溢れかえる。各町の山車は地区を回り、すれ違う山車がいたら山車に乗った笛や太鼓を掻き鳴らす小学生から大人までの様々な人が競り合いを始め盛り上がりを見せる。
祇園祭があって夏が来たのだと実感するものも多いほどの小さく、そして大きな祭だ。
(祇園祭かぁ、ももちゃんはきっと口城さんといつも通り行くんだろうし、笠井は山車あるし、出番ないときにしろ部活仲間とか町の人で行くんだろうし。俺はどうしようかなぁ……)
今までは羽為たちと一緒に行っていたがそれも今年はどうだろうか。去年も言われたのだが、祭に行くより家でゲームしたほうが有意義だと言われて今年こそ断られてしまいそうだ。
そう考えると、2人は除外しといたほうがいい。
他にあてがあるとすると、否が応でもそれは最近何故か一緒にいることが何かと増えてきた遼哉になる。
もちろん遼哉には部活があるだろうし、その仲間たちと行く可能性が大きい。迷惑はかけたくないのだが誘ってみたい気持ちもある。なんて言ったって”親友”なのだから。
うんうん唸っていると菜緒が戻ってきて、向こうでは全身チョークの粉だらけになった奴らが息を切らしぜぇぜぇと肩で息をしていた。ふとももちゃんを見てみるとロッカーによりかかって座り気持ちよさそうにくかーと寝ている。よくこの喧騒の中一回も起きることなく無傷で寝れるものだと感心する。
そのままワイワイと過ごし、集会で夏休みにおける注意を聞き教室でも担任からの夏休みにおける注意を聞き、そしてみんなはテンションがあがったまま部活に行く人は部活へ、帰る人は遊びに各々嬉しそうにかけていった。
3人も同様に分かれ、各々部活や家へ向かっていった。遼哉はもちろん部活である。
もう一度言うようだが、さて。
夏休みである。
始まる。
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