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24:看病2
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(新side)
今日は学校で何をしていても頭の中は兄の心配でいっぱいだった。
「なー、お兄さんの熱そんなにやばいのか?今日おまえずっと授業中も上の空なんだけど」
「気軽にお兄さんなんて呼ばないで!」
横を歩いていた進を睨みつけて言う。
「あー、はいはい。柊先輩な。ったく、いつになったらブラコンは無くなるんだよ…」
「今に始まったことじゃないでしょ」
「自分で分かってんじゃねーか」
進からのツッコミは無視しよう。
(自覚あるに決まってんじゃん…。)
この気持ちが単なる家族愛ではなく、恋愛対象としての恋心を持っていると知ったら周りの人を失う。絶対に。そのくらいのことをしている自負がある。
(進も渉も俺から離れていくんだろうな)
2人は自分にとって本当に大切な存在だ。
普段はおちゃらけているが根は優しく、意外と周りが見えている進。頼りがいがあって(ありすぎるくらいだけど)、しっかり者で誠実な渉。
この3人の性格がうまく組み合わさって、無言でも気まづくない関係と言えばいいのか(無言になることなんてほぼないが)、言葉ではうまく説明しきれないほどお互いがお互いにとって、なくてはならないかけがえのない存在だ。
しかしこれらの関係を失うことと代わりのものなんてないと言い切れる。新たにとってもうそれだけ大きい存在なのだ。
失うものがあまりにも多く、そして大きすぎる。
(だって普通に考えてありえないし、生物学的に生まれることのないものなんだよ……)
しかし、この気持ちが恨めしいと感じると同時に大切にしたいと思う気持ちもある。
(兄さんに向けた気持ちは誰にも負けないと言えることくらいだな。メリットって)
考えれば考えるほどに虚しくなる。そして考えれば考えるほどに気持ちは大きく募っていく。
(早く会いたいな…)
この目で早く愛する兄の顔を見て不安定な気持ちを安心させたい。やっぱり好きだ、と思う確信が欲しくなる。
「朝兄さん38度あって、そんなに風邪ひかない体質なのに…。」
「柊先輩運動してるから体力あるだろ。すぐ治るんじゃないか?」
渉の言う通りだ。
「そう信じる!」
しかしいくら体力があるからと言って高熱の中1人で家に残している兄を心配せずにはいられない。
「今日ごめんけど先帰るね。HR終わったらすぐ。」
一刻も早く兄の顔を見たい。
看病をして少しでも楽にさせてあげたい。
「言わなくても分かってるっつーの」
ぶっきらぼうに進は言った。
「というか俺ら部活あるしな」
「そういえばそうだったね」
進は兄と同じバスケ部、渉は水泳部に所属している。
「俺柊先輩の風邪のこと顧問に言っとくから。柊先輩にも部活のことは心配しないでくださいって言っといて。」
部活のエースである兄のことを進は慕っている。
「ありがとう、進」
やっぱり彼らを失えない。失うわけにはいかない。
実の兄にむけた自分の恋心なんて友情と比べればどれだけだって犠牲にできる。
むしろ、そうして欲しい。
そうやって自分の恋心を消して欲しい。
自分の願いであるはずの思いにどうしてか胸が張り裂けるほど痛かった。
でもその痛みの正体は自分が1番分かっていた。
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