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第0話 『甘味』 01
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沈みかけた陽の光が入り込む図書室。
放課後ともなれば、人は少なく、しんと静まり返っている。
そんな、隔離されたような空間の中―――事件は起きた。
「……。」
「……。」
図書室カウンターの中。
ひとりの小柄な男が、自分よりも大きな男に乗っかるような形で唇を合わせていた。
まるで時間が止まったように、ふたりは唇を合わせたまま目を開いて見つめ合う。
ーーカタン。
「あっ」
小さな音がなったのを機に、上に乗っていた男が弾かれたように飛び上がり、数歩下がった。
倒れた男は何事もなかったかのように立ち上がり、呆然としたまま口を押さえるもうひとりの男に近づく。
「先輩……。すげ、唇甘いね。」
つぃっと自分よりも小さな男の顎を指で持ち上げ、そっと―――キスをした。
先程の、事故のキスではなく故意のキスを。
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