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「うわっ」
「あ、あいてます…」
カップルのうちの男はまた舌打ちをし静かに出ていった
「ありゃ、ヤッとったな」
負傷しているであろう1人が興奮した口調で言った
「うわっ?!待って、人いんじゃん!
かわいそ~」
この部屋には僕とあのカップル以外誰もいなかった
だからあの言葉は僕に向かって言ったものだろう
「…これかな?」
付添人は呆れたような素振りでカチャカチャとなにかを探し始めた
「男かな、女かな」
「そんなの知ってどーすんだよ」
「…特になんもないけど?」
「じゃあやめろよ、くだらねぇ」
「少しくらいいーだろ!」
…えっ
足音が僕のいるベッドに近づいてくる
本気で見る気なの…?
急いで目を閉じた
鼓動を打つ音が足音とリンクする
次第に大きくなってすぐ目の前まで来た
耳を立ててカーテンを開ける音を待った
シャッ
「………」
明かりが差し込んで数十秒でカーテンは閉まった
「気は済んだか?」
「いや、やべぇ…偉いべっぴんさんや」
「は?」
今、本当に僕を見たのかな?
少し顔が熱くなった気がした
「女の子?名簿には書いてなさそうだけど」
「いや男っぽい…」
「おお、お前にもついにきたか」
「…っちげぇし!!そんなんじゃねぇって!」
「声がでかい」
「あ、すんません…
でもお前も1回見てみろよビックリするって」
「興味ない」
「もういいからいいから!」
負傷者が付添人をベッドまで押した
「いいって、早く探して帰ろーぜ」
「いやいや、そんなんじゃ後悔しますよ旦那さん!
ほらこっち!」
また足音が近づく
さっきよりも心臓がうるさい
やっぱり寝た振りしといた方がいいよね?
もう手を伸ばせば届く距離にいる
心臓の音が大き過ぎて聞こえているんじゃないか不安になってきた
ちょっと…こわい…
シャッ
「…………」
何でこんなに静かなの…
長い沈黙が流れる
僕の名前を呼ぶその懐かしい声が空気を振動させた
「……………そら…?」
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