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聞き覚えのある声なのに誰だか分からない
その人が近づいてくる気配がして身を強ばらせた
「おおお!あったあった!!
ガーゼにばんそーこーになんだこれ、
湿布か!」
いつの間にか離れていた負傷者が遠くで何かを探し当てたようだ
先程よりももっと近づいてきた気配はピタリと止まった
「おーい、やってくれよ」
「…あぁ」
足音が遠ざかり鎖に縛り付けられていた身体がジャリという音をたてて動いた気がした
緊張が緩み肺に溜まった空気を細い糸を作り出すように吐き出した
「美人だっただろ?名簿とかに名前かいてねぇかな」
ドキッと心臓が強く跳ねた
ただの名前だと分かっているのに自分を知られるのが怖い
悪い妄想が頭の中で渦巻いていく
「はせがわ そうだってさ、知ってる?」
「…いや」
僕の心配は杞憂だったみたいだ
そういえば保健の先生が出ていくときに持っていた書類は休息者の名簿だったような気がした
なんだと僕は安堵してそのままベッドに沈んでいった
「湊~、これけがの名簿だ」
最後の声は息に書き消されそらの耳には届かなかった
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