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rev .9
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大阪へやってきて皆でお好み焼きを食べた後、大悟はKに連れられ、水族館へやってきた。
「なんでまた水族館なの?」
大悟が大阪へやってきたのは、大阪府警副本部長の田中を動向を見張るためである。それが出来るかどうかはともかく、一応仕事である。
「昼より夜の方がカップル向きだと言われたけど、夜は部屋でイチャイチャしたいからさ。近くにある観覧車に乗るのがデートの鉄板だって、オッサン言ってたし」
オッサン=岡崎である。Kは大阪のデートスポットを聞いたようである。
「そうじゃなくて。Kはお休みかもしれないけど、俺は休みじゃないから」
「何言ってんの、俺が休みなんだからハニーも休みに決まってるでしょ」
無茶苦茶な話である。大悟はひとつ息をついてから、こう言い放った。
「プライベートはともかく、俺の仕事上の上司はレイだよ。情報屋だから始末屋とは違うし」
「それは東京での話。ここは大阪で、ハニーとカズミの管理は俺がやることになってんの。勿論レイに言われてのことだよ。今日のふたりの仕事は大阪へ来ることのみ。それが終わったら自由時間だよ」
自分のサポート役になったとはいえ、藤原はハナムラの人間ではない。レイからそれ相応の配慮をしろと言われているし、大悟自身もハナムラの新人であるため、Kが自分達の管理をするのは理解できるが、今日の仕事がこれで終わりというのは無茶苦茶な話である。
「でも、藤原が……」
「さっきマキが言ってたでしょ。カズミをホテルに送り届けるって。おそらく岡崎を呼び出して、三人で夜まで遊ぶはずだ。だから俺達も心置きなくデート出来るってこと」
そう言うと、Kは大悟の左頬にチュッとキスをした。ちなみに大悟の右頬は傷痕を隠す肌色のシートを貼ってあり、Kは青色の目を誤魔化すため、薄いブルーのサングラスをかけている。
「ハニーは俺とデートしたくないの? それとも今すぐエッチがよかった?」
キスをした後に耳元で囁かれ、大悟は慌てた。Kとのセックスは日常茶飯事だが、改めて問われると恥ずかしくなってしまうから。
「そ、それは後で!?」
「だよね。オッサンが一番人気はテーマパークって言ってたけど、平日でも人が多いって話でさ。俺はハニーと一緒ならどこでもいいから好きなの選んで。水族館のち観覧車とテーマパーク、どっちがいい?」
テーマパークに関しては、新幹線の車中で藤原から三人で行こうと提案されていた。Kはジェットコースターが苦手だし、実現するかどうかはともかく、今はやめておいた方がいいだろう。
「水族館でいい。考えてみたら、Kとこういう場所に行くことってあまりないから」
Kは人混みを嫌がるし、買物以外は部屋でくっついているのが常である。
「オーケー、オーケー。そうと決まればレッツゴー」
Kはごく自然に大悟の右手を取って、歩き出す。
「手を繋いでたら、変に思われるよ」
人気のテーマパーク程ではないとはいえ、平日でもそれなりに人はいる。普段は意識しなくても、こういう場所に足を踏み入れると自分達が普通でないことを思い知る。
「なんで? ハニーは俺の恋人でしょ」
Kは立ち止まった。彼は世間で言うところのイケメンなので目立つ。男同士が手を繋いでいれば尚更だ。
「それは、そうだけど……」
自分はともかく、Kが変な目で見られることは避けたい大悟であった。
「むしろ今日はそうするべきなんだって。あの看板みて」
Kの指差す方向へ目を向けてみれば「本日限定カップル特典あり」と書かれてあった。
「男女限定って書いてないし、こうしてても、カップル特典目当てだって思うでしょ」
繋いだ手をぶんぶんと振り回し、Kは笑う。大悟と一緒にいることが楽しい、そう顔に書いてあるように見えた。
「うん、そうだね」
釣られて大悟も笑う。たまにはこんなデートも悪くはない。年の差の壁を乗り越えて、大悟の側へ来てくれるKがたまらなく愛おしい。
俺も早くKの側に行きたい。Kの支えになりたいよ。
「急がなくていいからね。俺、マジでハニーに支えられてるからさ」
大悟の気持ちを悟ってのことか、Kは言った。
「前はいつ死んでもいいと思ってたけど、ハニーがいるから無理って思うようになった。生きてるのが楽しいって心から思うしね」
「俺もだよ。Kに会えたから、Kと一緒だから世界が変わったんだ!」
温かい家庭もなければ平凡な暮らしも出来ない。けれど、Kとハナムラの皆がいればそれでいい。
「熱烈な告白ありがと。じゃあ改めて、レッツゴー」
Kとしっかり手を繋ぎ、大悟は水族館へと歩き出した。
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