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rev .13
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目覚めた大悟はKからの伝言を確認し、電話をかけた。大事な話があるから藤原を部屋に呼ぶようにと言われたが、マキが大阪に残っていることからして何かあったことは察した。大悟が連絡を入れたとき、藤原は食事の調達にホテル直結のスーパーへ行こうとしていた。Kから大事な話があると言うと、すぐ部屋に来てくれた。
「総監が副タヌキを処分!?」
発した言葉の意味を噛みしめるように藤原は黙り込んだ。
「驚くよねぇ、実際僕も驚いたし」
沈黙を破って発言したのはマキだった。ホテル近くのコーヒーショップで購入したであろうコーヒーを持っている。同じものをKも手にしていた。
「ケイちゃん、これ、マジな話なんか!?」
マキの返答に満足出来ず、藤原はソファーから立ち上がる。彼の隣にはマキ、向かいには大悟、その隣にKという並びである。
「ああ、レイにも確認を取った。このままいけば、田中はマキによって処分されることになる」
Kに念押しされ、藤原は呆然とする。マキは一つ息をついた後、藤原に寄り添い、彼を座らせた。
「ごめんね、カズ君。これが僕の仕事だから」
いつになく神妙な面持ちのマキ。自分達の前ではニコニコ笑っているが、彼はKに次ぐ位置にいる殺し屋でもある。
「まだ決定じゃない。俺達で止めること出来る。そうだよね、K」
「確率は低いよ。マイナス要素が多すぎるからね」
変な期待を持たせたくないのか、Kはいい顔をしなかった。
「ナンバー3が承知した案件やろ。俺らに覆すことが出来ると思うか?」
藤原も不安そうである。
「承知したというか、させられたというか。レイでもボスの命令には逆らえないからな」
Kが補足した。これはレイの本意ではないということである。
「確率がゼロでないのなら、やってみる価値はあると思う」
「俺らは素人よりマシ程度の立ち位置やで。ナンバー3の手が借りられんとなると、誰の手借りたらええんや?」
藤原の不安はレイの協力が得られないということだった。
「クロードを使う」
「ちょっとハニー、なんであいつを使うわけ!?」
Kは大悟を抱き寄せ、肩を抱いた。
「俺達は全員府警に面が割れてるけど、今の彼なら大丈夫でしょ」
大悟達同様、クロードも府警の事情聴取を受けているが、先日会った彼は全く違う顔になっていた。
「そやな。俺らで気づかんかったんやから大丈夫やな」
「田中のことはあいつが調べたんだ。これ以上何か出てくる可能性は少ないよ」
藤原は納得したが、Kは不満そうである。
「わかってる。クロードには追加の精査を頼むつもりだよ。勿論無理はしない。何かあればKとマキを頼るから」
自信は全くないし、自分達に出来るとも思えない。それでもチャンスを与えられた以上はやるだけだ。
「そやな。最後の最後はマッキーの仕事。猶予があるなら出来ることをやる。これが俺とカナリアのデビュー戦や!」
大悟の気持ちに応えるように、藤原は立ち上がり、右手を差し出してきた。大悟はこくりと頷いてその手を取った。肩を抱いたままのKも、無言で右手を乗せてきた。
「ハニーのためならなんでもするけど、危ないことはしちゃダメだよ」
念押しするように言って、Kは大悟の頬にそっとキスをした。皆の前で恥ずかしいと思ったが、これ以上機嫌を害されては困るのでこくりと頷いておく。
「カナカナもカズ君も、情報屋らしくなってきたねえ」
マキはニコニコと笑いながら、最後に右手を乗せた。
「出来ることならこの仕事はやりたくないんだよね。ツトムンも関わってくるからさ」
田中が処分対象となれば、必然的に岡崎もそうなる。彼はKと深く関わってしまっているから。
「そういうわけだから、僕にも出来ることがあったら言ってねん」
マキの申し出に感謝しつつ、大悟はクロードに連絡を入れたのだった。
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