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一緒に………逝く? <Side A
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背後から回した左手に乗る、顎の感触。
伸ばした首許に、押し当てたナイフ。
冷えた刃物の感触が、男の身体を震わせる。
俺が握っているこの柄を引けば、男の頸動脈は掻き切られ、真っ赤な鮮血が飛び散るコトだろう。
そして、男は絶命する。
ブラインドの上げられた小さな窓から月灯りが射し込んだ。
俺と男の姿が、目の前の窓に反射する。
「な、んで……? 嘘、だろ……冗だ…」
「冗談、…ではないよ」
ナイフを握る手が、柔らかに叩かれた。
その衝撃にすら切れ味のいいナイフは、男の首に、うっすらと赤い線を刻む。
視界に映ったのは、顎を上げさせられ、俺にナイフを突きつけられているテイル。
俺の……、愛する人。
左手で触れている肌の感触に覚えがなかった訳じゃない。
後ろ姿に既視感を覚えなかった訳じゃない。
「お前が俺を殺らないなら、俺がお前を殺るよ……?」
―― カチャリ
撃鉄を起こす静かな摩擦音と、冷たい銃口が俺の側頭部に押し当てられた。
「それとも、一緒に………逝く?」
掠れた笑い声が、鼓膜を震わせる。
そうじゃねぇだろ。
……一緒に逝くのは、セックスだけで充分だ。
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