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キーンコーンカーンコーン…。
学校の終業のベルが、『チャンスは今よ』とばかりに鳴り出した。音に怯んだのか、谷原も動きを止めた。…よし、このスキに!!
「あ、次、授業あるんだったわ~!!…じゃっ、じゃあな、谷原!!また教室で会おうな!!」
急いで立ち上がり、その場をいそいそと逃れる。背後から、谷原の声がした。
「のんちゃんセンセ、オレ、本気だかんねっ!!」
「~…っ」
走って走って…ようやく自分の巣である理科室に逃げ込み、閉めた扉に背中を預ける。…去年の体育祭以降、いやそれよりか。本気で走った副作用で、未だに肩で荒い息をする。
「…んだよ、アイツ。」
顔を横に向けると、カーテン全開のガラス窓がそこにあった。窓に映り込む自身の姿…三十超えた、白衣姿の男。短いけど髭だって生やしているし、髪は後頭部で一つにまとめて結んでいる。どう贔屓目に見ても、抱きたいとか抱かれたいとか思うような容姿や面構えではない。
「完璧“THE☆おっさん”なんだけど…。」
頬に片手をあてて、ぼそりと呟く。髭特有のざり…、とした手触りを感じながら、俺は一人途方に暮れた。
『オレ、のんちゃんセンセとHしたい。』
『っつか、反応とか涙とかみんな初心えっろ…。』
『…けど、のんちゃんセンセは特別。見ていると、ドキドキしてくるし、近づいて触っていろんな顔させて…もっとドキドキしたくなる。』
「本気でそれ言ってんのかよ、谷原…。」
ハァ…と溜息を一つついて、俺は両手で自身の顔を覆い隠す。…じんわりと赤みを帯びてきた両頬をそっと知らんぷりするために。
〈4月の戯言 おしまい〉
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