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悪夢はいらない
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朝日が俺の顔を照らし、閉じている瞼の裏にまで溶け込む。その柔らかい光に目を開くと、目の前には金色のangeloがいた。長いまつげ、桃色の唇。陳腐な言葉かもしれないが、その姿をangeloと言わなかったらなんと表せるのだろうか。猫の毛よりも柔らかい髪は俺の頬を撫で、映画にでてくる幼い女優よりもあどけない頬は俺の唇を優しく受け止めた。
「…ん、」
「嗚呼、おはようホーレット」
「おはよう…」
寝ぼけているのか、それともこれが普通なのか。ホーレットは微笑んで俺の首に腕を回す。甘える猫のように、耳元で喉を鳴らした。
「ホーレット?」
「お腹すいた」
「si。なにを食べたい?」
「…リゾット」
甘えてくるホーレットの腕を優しくほどいてベッドから降りる。ホーレットも其の後に続いて俺の後ろをついてきた。
「まるでヒヨコだな」
「僕は犬が好きだな」
「犬?」
「si。ヨセフって名前をつけたいんだ」
「そいつはいい」
夢を語る少年は、前を見据えた。それはキッチンではなく、遠いところをみていた。犬か、俺も欲しいなぁ。でも、散歩が面倒でね、と笑うとホーレットは笑った。神のような、神よりも寛大な笑顔を見せた。
俺はホーレットを愛してるんだろうか。神として崇めているのか、愛しているのか。互いに本名すら知らないというのに。…俺はただ神を手に入れて縋り付いているだけなのだろうか。深鍋に入れたバターがパチリと音を立てる。今日は二人でなにをしようか、と胸を躍らせる。
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