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天使と悪魔のワルツ
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「いいか、変なことは言うなよ」
夜道。地下鉄からの道を俺と奥村と如月。月が大きな夜で、影は縦に伸びていた。踏もうと足を踏み出しても逃げる影。
「変なことなんて言わないよう」
「ならいいけど」
ぶつくさと文句を言いながらも三人で肩を並べてた。すると目の前に金色の髪がみえる。暗闇でも見間違えることのない、綺麗な金髪だ。その足元には小さな犬がいる。
「…ホーレット」
「え?ああ!おかえり、えぇっと…知り合い?」
「はじめまして、ホーレットくん。僕は奥村、こっちが如月君だよ。ずっと君に会ってみたかったんだ」
「それは光栄です。」
なんとも不思議な光景だった。金色の天使と真っ黒な悪魔が出会い、微笑んでいるような。そんな二人がいつか、恋に落ちるような。そんな光景だった。
「あ、そうだ。いまから夕飯作るんですけど。…よかったら…」
「いいのかい?シムニート君」
「シムニート…?それが彼の名前ですか?」
「ううん、あだ名だよ」
食べていってもいい。と返事をした後の帰路に俺は気がついた。本名も教えていないが、ホーレットは俺のことをいつだって呼んだことがない。デニス、と一言も口にしていない。
それが何故なのかわからなくて、胸がチクリと痛む。神に背を向けられたような気がした。
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