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謎に溢れている世界
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後から聞いた話だと、あの抑え込まれた男こそが奥村を殺した犯人らしい。わかってはいたが。そして、あの男の正体はあのボロい教会の近くに住む羊飼いだそうだ。
ホーレットのことを聞くと、少しだけ口端を吊り上げて笑う。ホーレットがいま何処にいるのか。それは知らないという。
殺した、と言ったところで伝わっただろう。あの日、奥村はすでに事切れていた。いつものように少しだけ口角をあげて、真っ黒い瞳を隠すように瞼を閉じて。髪の毛は雨でパサついていた。葬儀が行われたのは、昨日。
葬儀場には人が溢れていた。人望があるとは思えなかったが、それでもそれぞれが哀しみに頬を濡らしていた。
giapponeはこんなことない国だと、奥村は前にいっていた。警官の知り合いが居るが、くだらない事件に駆け回ると。このなんとも危険な街に来たせいで奥村は死んだのかもしれない。やるせなかった。
葬儀の中、如月だけは涙を流さなかった。ただ虚ろな目で奥村の方をみていた。いつだってあるはずの彼の目元の隈が、この日はさらにひどいことになっていた。
結局、ホーレットはどうしたのだろう。出かける気にもなれず、よく奥村が入り浸っていた玄関から三番目の部屋に寝っころがる。靴であがってももう奥村には文句を言われないとわかっていたが、汚す気にはなれなかった。そのまま一日が終わり、また月曜日が来た。
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