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笑なさいと神がいう。
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奥村の部屋へ向かうまでに黒田はメモを呼んで、これが計画されていた殺人だと断言した。探偵とはここまで自信満々なものなのかと、驚く。
「この文はおかしいだろう?どうして奥村はただのメモにこんな風に説明を書き加えたんだい?」
「…だれかに伝えるためってことですか」
「でもまって下さい。それなら、一緒に暮らしてる俺とか、もっとわかりやすい方法があったんじゃないですか」
「多分盗聴器じゃないかな。それか、見張られていた。」
だから、日本語でこんなことを書いたんだ。そういってメモをファイルにしまうことなく丸めた。どうして、と声をかけようとする前に静かにしろとジェスチャーされる。仕方なく前を向いてなにもないふりをした。
黒田はガサゴソと車の中に触れ、最後にハンドルの真ん中についた車メーカーのシンボルをはぎとった。運転中だった如月が驚いて思わず脇道にそれる。
「なにしてっ」
「シッ!…盗聴器だ。」
シンボルの裏には、映画だとかでみるよりも大きな四角いものがくっついていた。黒田がその盗聴器をもって停まった車から降りる。なにをしてるのかと思ったら息を大きく吸い込み、「ワッ!!」と叫び、そして盗聴器を投げ捨てた。もしもあの盗聴器を、イヤホンやヘッドフォン…いや、スピーカーで聞いていたとしてもたまったものではない。
「いい性格してるぜ、本当」
「grazie。奥村とはよく怒られてたよ」
「んん、そんな感じだ」
久しぶりに、声を出して笑った気がした。
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