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「だって、好きなんだもん」
師匠を見つめると、太い指でタバコを挟んで口元から離した。
「俺は、お前をゲイに育てた覚えはねぇ」
「ボクは、ゲイじゃなくて師匠が好きなの」
師匠は、自分に向けられている好意がどういうものかを既にわかっている。だから、少しうんざりしている。
「男を男が好きな時点で、ゲイだろ」
「違いますー」
昔気質の師匠に、そんな常識が理解できるわけはない。
ずっと片想いなんだと…それでも師匠が拒絶しないのは、いろんな人を相手にしてきたという彼の経験値によるものが大きいんじゃないかと思う。
「何が違ぇんだよ」
師匠に入れてもらったお茶は、濃くて苦くて渋い。
しかも、保温しているポットから入れるから冷めやすい。
「全然違います」
ポケットから、電子タバコを取り出して手早く設置して、口をつける。
師匠は、電子タバコを真新しいものを見るかのような目でガン見していた。あえて『なんだそれ?』とは今は聞かない。きっと隙があれば『それタバコか?うまいのか?なんていうやつなんだ?1本くれ』なんて畳み掛けてくるんだと思う。それを想像すると、また師匠の可愛らしい一面を独占できる気がして気分がいい。
「…お前に今まで言ってなかったことがある」
「え?」
師匠の声はいつもより低かった。
「なんですか?」
師匠とは長い付き合いだと思っていた。
きっと他の人が知らないようなことを知っている。例えば、師匠の性器にはピアスが3個ついているということ。あとは、この部屋には風呂がないから銭湯に行くしかないということ。同性しか知り得ないようなことは、娘のミエコよりも詳しく師匠について知っているという自負がある。でもそんなことは付き合いが長ければとっくに知ることができるようなことだ。
「実は、俺はな…」
電子タバコの煙の匂いは、師匠のとは違って匂いが鼻についた。
逆だという人もいるが、個人的な嗜好から言うと嗅ぎ慣れた師匠のタバコの匂いの方が好みではある。
「ショタコンなんだよ」
「は?」
そんな言葉を知っているというのが驚きだった。
もっと別の言葉で言われるかと思ったが…いや、別の言葉で言われても、昔の言葉ならきっと理解できないから助かった。
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