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目が覚めると、自分は死んだことになっていた。遠くに聞こえるサイレンで意識を取り戻すと、千明のそばには仕事を終え一服するジンの姿があった。
古い一軒家の縁側で寝転んでいた千明は、こたつの向こうに見えるジンをじっと眺めていた。
ジンが言うには、見つかった遺体は森で自死した若者のものだったらしい。どんな手を使ったのかわからないが、半年経った今も身元は特定されていない。千明は彼を信じるしかないが、なんでもないようにやってみせる彼が少し怖かった。
「千明くん、何考えてるの」
細長い煙草を手にしたジンが、千明の視線に気づく。
「綺麗だなと思って」
ジンは声をあげて笑った。初めて見るその様子に、千明は目を丸くする。同時に、愛しさが胸に溢れる。
「君って……本当に僕のこと好きだね」
そう言って煙草の火を消し、千明の元に近づく。千明のそばにある石油ストーブの火力を強め、同じように寝転んだ。
なにを今さら。そう言おうとした口を、ジンは塞いだ。音を立てて離れていく唇。
そっと抱き締めると、耳元で「ずっとそばにいて」と小さな声があった、
窓の外から鐘の音が聞こえる。子供の無邪気な声も。
こんな田舎でも大晦日はみんな起きているもんなんだなと、ふたりして笑った。
終
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