アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
春の海域【おそ一】
-
注意
※おそ松×一松の作品となっております
地雷の方は閲覧を控えてください
※自殺等の表現が含まれます
それらの行為を推奨しているわけではないのでご了承ください
※この作品はフィクションです
実在する人物や土地、団体や宗教とは一切関係ありません
公式に迷惑になるようなことはしないでください
※何でも許せる方向け
以上を読んで平気だと思う方は閲覧どうぞ!
・
・
・
・
・
天気は穏やかだった。雲は少なかったが特段暑いわけでもなく長そでを着ていて快適な気温。過ごしやすい日、とは正にこのことだろう。開かれた窓からは涼しげな風が時折入ってきて頬を撫でてはどこかへ抜けていった。
平日の真昼間だというのに一松はすることがなくソファに寝転がっていた。いつもは重い体も今日はどこへでもとんでいけるような気がするほど軽く感じた。
なにかしないと、焦燥にも似た感情を抱くと立ち上がってストレッチらしきものをする。長時間背中を丸めていたからだろうか、伸ばすと小気味よい音が鳴った。
金がないこともない、どこかに遠出でもしてみようか。窓枠をまたぎベランダの手すりに肘をついた。意味もなく眺めた景色の端にふと電車が映った。目を凝らしてみてみると中はがら空き。それもそのはずこの時間帯に電車を利用するなんて家出少女かニートぐらいの暇人だろう。世の人間の大半はせわしい時間を送っているはずだ。
春の柔らかい風が前髪を揺らす。途端に窓の外がキラキラ輝いて見え、透き通るような風の中を泳ぐ花弁に目が留まる。外に行こう、謎の決意は一松の中で固まる。こんなきれいな日にフラっとどこかへ消えてしまいたくなる。
死にたい、そう思ったのは一松を突き動かすのには十分な衝動だった。
_______
「暇だー!」
おそ松は居間に大の字で寝転がり叫んだ。ちゃぶ台の上に放るように置かれた雑誌に少し目をやる。競馬新聞、女性誌、旅行誌、スポーツ誌。全部読み切ってしまった。こんな天気がいい日は競馬でも行ってパーッと金を使いたいものだが生憎持ち合わせはなかった。弟たちの財布もあさってみたが次男と五男はすっからかん。三男と末弟は持ち出していたし四男は決して触らそうとせずに腕に抱えていた。
「あら、おそ松。暇なら就活してもいいのよ?」
8人分の朝食の片付けが終わったのだろうか。扉を開けて出てきたのは我らが母、松代だった。
「あいやー、結構かなー」
「そう?遠慮しなくてもいいのよ」
そういうと口元に手を当てふふ、と笑った。冗談のつもりかもしれないがこちらからしたら笑えない。実行に移さないだけでいつも罪悪感を感じている身としてはかなり耳が痛かった。これ以上の言葉を制止するように背中を向けて寝転がった。
「あらあら、機嫌崩しちゃって
そんなに暇なら散歩でも行ったらどう?あなた銭湯以外で外に出てないでしょ。キノコが生えてくるわよ」
「うーん、そうしよっかなー」
笑いを含みながらの言葉。嫌味な雰囲気は感じさせず優しい声だった。キノコが生える訳はないのに妙な説得感に体が動いた。立ち上がると伸びをする。たまには何もせず歩くだけもいいか。行くとなると急に体を動かしたくなってきた。運動を好き好んでするわけではないのに不思議だ。
「じゃあ行ってこようかなー」
「お昼はどうする?」
「えー...いいや!俺の分はなしでお願い!」
「そう、どこかで干からびて倒れるなんてお母さん嫌だからねー」
「はーい」
いつも使う赤色のスリッポンに履き替えて扉に手をかけた。ガラララ...と音を立てて滑りよく扉が開いた
「よし、行ってきまーす!」
気を付けてね、という松代の言葉を背におそ松は飛び出す。
角を曲がろうとして3番目の弟の少し伸びた紫の背中が目に映った。兄弟の中で陰気くさいのはもはやお決まりのような雰囲気だったのだが今日は少し違った。いつもの重い足取りはなく軽くスキップでもするかのようだ。
なんかあやしいな...?無意識のうちに隠れていた曲がり角から弟を覗きながら思った。
つけてやろう、そう思ったのは確かな衝動だ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 2