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人形はただの我儘な子供と一緒に生きることにした。
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風呂から出て、洗濯機の上にあったバスタオルで身体を拭き、 バスタオルの隣に置かれていた幸さんの服を手に取る。服のサイズは、ワンサイズだけ俺よりデカかった。
俺は着替えが終わると、棚にあったドライヤーを拝借して髪を乾かしてから、リビングに戻った。
リビングのテーブルには、軽めのご飯が用意されていた。
「お風呂ありがとうございました。ドライヤーもお借りしちゃったんですけど、大丈夫でしたか?」
「はい、もちろんです。やっぱり服、ちょっと大きいですね。海里さん、細いから。ちゃんとご飯食べてますか?」
テーブルの前にいた幸さんが俺を見ながら笑って言う。
どうやら、親御さんは寝室に戻ったみたいだ。
「……できるだけ食べるようにはしてるつもりです」
零次がいなくなってから食欲は湧かなくなってしまっているけれど、それで倒れたら元も子もないから、どうしても食べる気になれない時以外は、できるだけ食べるようにしている。
「それならいいんですけど」
その後俺は、テーブルにあったご飯を、幸さんと軽い談笑を交えながら食べた。
「今日はもう寝ましょうか。千葉に行くなら、明日の朝には帰らないとでしょうし」
俺がご飯を食べ終わったのを見計らって、幸さんは言う。
「はい。今日は本当に、ありがとうございました」
「いえいえ。そしたら海里さんは私のベッドで寝てください。私はソファで寝るので」
「いやいや流石にそれは悪いです! 俺がソファで寝ますよ」
「ベットで寝てください。でないと私が、海里さんの想い人に怒られちゃうので」
そこまで言われると、頷くしかなかった。
「……そしたら、今度何か奢らせて下さい。幸さんに会いに、東京に戻るので」
思わず言ってしまった。
俺はもう一生、友達を作らないつもりだったのに。
たとえ今日会っただけの関係でも、泊まりなんてしたらその二人の関係はもう今日会っただけの関係から、『友達ではないけど、それに近い何か』のような関係になってしまっている。
それがわかっていたのに、俺は自ら友達になろうとするようなことをしてしまった。
「ふふ。ありがとうございます。楽しみにしてますね」
嬉しそうに口角を上げて、幸さんは言う。
俺はそんな幸さんになんて声をかければいいのか、全然わからなかった。
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