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=Ring2= 003.
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「悪い夢、見たんだろ……今日は休みの日だから、ここにいてやるよ」
水をくれた人が無表情にそう言うと、僕の背中を支えていてくれたもう一人の人もこくこくと頷いた。
「安心して、泣かなくていいよ」
ふわりとほほえむ。
二人は名前を「藍」「薔」と名乗った。
「あの……えっと……ら、らんさま、しょうさま…」
「ランでいいよ、彩ちゃん」
途切れ途切れに絞り出した声はしかし簡単に遮られ、僕はらんさまをランと呼ぶことに必死になった。
「あ、えと……ら、ラン……」
「はぁい」
可愛らしい、女の子のような笑顔が咲いた。
ショウ様の目が優しげに細められるのを横目に、僕はなんとか言いたかったことを絞り出す。
「あ、あの……ごしゅじ、…………あっ………時雨、様、はどうなさって……?」
おそるおそるそう尋ねると、ランは「うーん」と首をひねった。
「それは僕も知らないんだよねー…。ねぇ薔、瑠璃時雨(ルリ シグレ)ってどうなったの?」
ランがショウ様にそう尋ねた。
それまでふわふわの微笑みでランを見つめていたショウ様ははっと目を覚ましたように我にかえる。
「あ〜……瑠璃家の、御曹司……」
「………潰しちゃったかも」
目を細めて遠くを見つめ、ボソリと呟いた。
ランがぽかーんと口を半開きにして、「………えっ」と声を漏らす。
僕はピシリと固まった。
潰す………ぺちゃんこ……?
「………ぺちゃんこ、になったんですか?」
「はぁ?」
呆れた目線が飛んで来て、僕は恐縮して縮こまった。
ランがショウ様に尋ねる。
「潰しちゃったって……瑠璃家ごと? それとも時雨さんだけ?」
ショウ様は首を横に振った。
「かも、ってだけだよ」
「………なにしたの?」
ショウ様は唇をおかしそうに歪めて、黙って首を振るだけだった。
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