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クリスマスSS Uに癇癪
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クリスマスSS カールコール(Uに癇癪)
二学期終わりの終業式。駅のホームで、嶋が訊いてきた。
「二十四日、どうする??」
「どうする…って??」
そんな漠然と訊かれても、と瞬きを繰り返していると、嶋のが意外そうに口を開く。
「え…。クリスマスイブだし、デートとか…。」
「…しなくてもいいんじゃない??」
クリスマスイブは全恋人達デートしましょう、という決まりがあるわけでもない。でも、嶋は動揺したみたいだった。
「柴ちゃんがそれでいいなら、いいけど…。」
とらしくなく言葉を濁す。
ああでも、と声を発すると、期待したようにパッと顔を輝かせる。
「…僕以外とクリスマスデートしていたらブッ殺す。」
「ハイ…。」
目を点にして、ガクガク頷く嶋だった。
無論、クリスマスデートをしないのには理由がある。
嶋には、家族の時間を大切にして欲しいからだ。
嶋は、友達と夜遅くまでパーティーして徹夜して楽しむタイプじゃないから、きっと夜は家族と一緒に過ごすはずだ。
…なら、自分がそのポジションを奪ってしまうのはもったいない気がした。
十二月二十四日。午後八時過ぎ。気づけば、家の電話で嶋ン家に連絡している。
あれだけ家族の時間がとか抜かしておいて…正直、恥ずかしい。
だけど、成績優秀な僕だって、理屈じゃない寂しさを抱く時だってあるんだ。
「…もしもし。」
『はい…。』
不思議。一声聞くだけで、下降一方だったテンションがグインと急カーブして上を向く。
『って、柴ちゃん??どうしたの、こんな時間に。』
「うん…。嶋の声が聞きたくて。」
笑われるかな、と思ったら、すんなり言葉が返ってきた。
『あぁ。…俺も。』
「…っ」
片手で持っていた受話器を両手で包み込むようにして持つ。
心にじんわりと、言外に“好きだよ”と伝えた嶋の声が、染み入ってくるような気がした。
〈コールカール おしまい〉
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