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クリスマスSS 昼夜問わず(前編)
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クリスマスSS Cocktail Trap(昼夜問わず)
クリスマスの夜は、好きな人と二人だけでしんみり過ごしたい。
特別なことなんて何も望まない。
ただ、身を寄せ合って一つのベッドで温もりを分け合って眠りにつく。
サンタが来なくたって、プレゼントがなくったって。
好きな人の笑顔がそばにあれば、僕はいつだって幸せになれる。
嵐は十二月二十四日、午後五時過ぎにやってきた。
「美月ちゃ~ん、入ぃ~れぇ~てぇ~!!」
「…お引き取り下さい。」
満面の笑みで両手に持ったワインとケーキの箱をひけらかす朝倉に、僕はその鼻先で玄関扉をスッと閉めた。
ガチャッ
「…じゃなくてッ!!ふざけてごめんって美月ちゃん!!だから本当、入れて部屋!!外寒いんだよ!!ほらあのね、これ見てすんごい耳凍る!!真っ赤に凍りそう!!あと三分したら神経働かなくなりそう!!」
「…耳かっぽじってよく聞け??、“お引き取り下さい”。」
閉めようとした、刹那…。
「ええ~…。せっかく“恋人がいない”美月ちゃんを慰みに来たのにな。せっかく“恋人がいない”美月ちゃんに寂しくないように手土産持ってクリスマスの夜を一緒に過ごそうとしたのにな。せっかく…。」
「ええい、御近所さん向こう三軒両隣に届きそうな声で僕が現在絶賛独り身中であるとアナウンスせんでいいっ!!っつか、それも嫌がらせ以外の何物でもないが!?」
「…部屋入るぞ。」
「聞けよッ!!」
…とまあ、いつものペースで朝倉を部屋に上げてしまったのがいけなかった。
僕が夕食を二人分作り、風呂掃除やセッティングなんかは朝倉に押し付けた。夕食時になると、卓上には僕が買ってきたチキンや手製のサラダが並び、ワイングラスにはワインが注がれた。
「クリスマスの夜に乾杯。」
朝倉がキラキラ煌めくイケメン顔で甘く囁く。それぞれのワイングラスを軽く突き合わせると、カチンッと軽い音がした。
「…お前、歯が数センチ浮いて、その内げっ歯類になるぞ。」
一口ワインを含む。…ん、朝倉の手土産にしてはなかなか上等な酒だ。
「そしたら、かわいいって、この家で飼ってくれる??」
顔だけは王子様みたいに素敵な男に、にこっと微笑まれて、僕は参ってしまう。
「ま、まあ…。考えてやらんでもないかな。」
羞恥心を誤魔化すかのように、グイッとワイングラスを傾け、一気に呷ってしまった…。
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