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Lesson.3
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同性からよく好かれる多希には、好意を含んだ視線というものが何となく分かる。
自分の勘は外れたことはないし、それに当てはめれば、久住は予想の範囲外の人間だったのだ。
あの滅多に表情を変えない久住が、自分のことを好き……?
あり得ない妄想は際限なく広がっていく。
昨夜の疲れが身体にも心にもどっと積もっている。
休日の昼間、途中で起きなくてもいい安心感に包まれ、多希は夕方まで深く眠った。
……────。
半端に昼寝をしたせいで、深夜を過ぎてもなかなか寝つけなかった。
日曜日の午前──シフトでは朝一番の講義がある。
多希の講義は大体一週間前から枠が埋まり始め、キャンセルが出たら人が入れ替わったりする。
出勤前に多希は今日のリストを、パソコンで確認する。
「今日久住さん来るのか……」
朝から胃が重い。どんな顔をして会えばいいのだろう。
キャンセルにならないかと祈ってみたものの、久住の名前が消えることはない。
──平常心……平常心。
一応、三十分前に着くように早めに出ている。
コンビニでドリップコーヒーを買い、多希は事務所へ向かう。
打ちっぱなしのコンクリートを背にした久住が、誰かを探すように顔をきょろきょろとさせている。
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