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ルームシェアするアパートのダイニングのテーブルで、山下君がノートパソコンをぱたんと閉じた。
「さあ、ユウ」
声を掛けられて、ドキンと心臓が飛び跳ねる。
「そろそろ抜く?」
ニヤッと笑いかけられて、赤面しつつもぶんぶん首を横に振る。でも断っても、逃げても、泣いても、暴れても、山下君が許してくれる可能性はなかった。
抜くって気軽に訊かれてるのは、お風呂の栓でもないし、画鋲でもクギでも雑草でもない。精子のことだ。
ここのところオレは、このルームメイトに押し切られる形で、毎晩精子を抜かれてる。手とか口とか使って「ほらイケよ」って。なんでそうなったかのか、オレにもよく分かんない。
山下君は地元の高校の同級生で、大学進学で上京するにあたって、ルームシェアしようかってなっただけのトモダチだった。
そりゃあ男同士だし、オナネタを語り合うこともなくはなかったけど、決してそんな、抜き合うような仲じゃなかった。
それが妙なことになったのは、山下君がどこかからか見つけて来た、Webニュースの記事を読んでからだ。
――20代の若年成人期においての射精経験の多さが、後年の前立腺癌の発生率を減少させると見られる――
ざっと読んだだけで詳細はよく分かんなかったけど、なんか海外で、長期にわたってそういう追跡調査をしてたんだって。
それで、20代の時の毎月の射精回数が21回以上のグループが、最も前立腺癌の発生率が少なかったって。
月に21回って、1月が30日とすると、ざっと7割くらいかな?
「つまりな、週に5回はやんなきゃいけねーんだ、分かるよな?」
山下君にぐいぐいと迫られて、最初、「う……ん?」と曖昧にうなずいたのを覚えてる。
いつもなら彼、こういうネット上の情報は「はいはい、デマ乙」って鼻で笑うくらいなのに。なんでか今回ばかりは食いつきがよくて、戸惑いしかなかった。
「手伝ってやるよ」って言い出されたときも、戸惑いしかなかった。
「毎日抜くのが理想だけどさ、お前結構のんびり屋だし、オレが促してやんねーと、うっかり忘れそうじゃん?」
って。
「ええー、そうかなぁ」
自分でものんびりなとこはあると思うし、いろんなことをうっかり忘れるってこともありがちだけど、だからって手伝って貰う必要もないと思う。
っていうか、手伝って貰うものでもないと思う。
「だってお前、普段週1か週2だろ? それじゃ足りねぇんだって」
見透かしたようなそんな言葉に、ひぃっと思いつつ赤面したのは、仕方のないことじゃないだろうか。
週1か週2、確かにそのくらいだけど、なんでそれを山下君が知ってるのか、分かんなくて怖い。
個室は壁1枚挟んだだけの隣だし、プライバシーが完全に保たれてるかっていうとそうでもないかも知れないけど、回数まで把握されてるとは思わなかった。
「じゃあそっちは何回くらいなんだよ?」
反撃のつもりでの問いかけは、「気になる?」ってニヤリと笑いかけられて撃墜される。
「オレの射精管理、してくれてもいいんだぜ」
いい笑顔でオレの手を取り、それを自分の股間へと導く山下君。そこは、ギョッとするくらい大きく固く盛り上がってて、「ひぃっ」と手を引きたくなった。
山下君によるオレの射精管理が始まったのは、それからだ。
「じゃあ、逆にオレがしてやるよ。管理」
いい笑顔でニカッと笑われ、勿論即答で断った。けど、オレのお断りは却下され、「いいから、いいから」ってソファに押し倒され、「大丈夫、大丈夫」って馬乗りされた。
何が「いいから」なのか分かんない。何が「大丈夫」なのかも分かんない。良くもないし、大丈夫でもないんだけど、不意打ちできゅうっと股間を揉まれて、「ひゃあっ」って悲鳴を上げちゃって、頭が真っ白になってしまった。
その、最初のその時に、思いっきり暴れればよかったんだろうか? それか、思いっきり嫌がって泣けばよかったのか?
今となっては仮定でしかないけど、「ほらほら」って促されるたび、背徳感に襲われる。
「ソファで抜く? それともベッド?」
ソファで縮み上がってるオレの横に来て、山下君がにこにことオレの肩を抱いた。
「一応訊くけど、抜かないって選択肢、は」
「ねぇな」
キッパリと断言しながら、山下君がオレをこてんとソファに押し倒す。
さっさとソファから逃げとけばって思われるかも知れないけど、前に逃げてベッドに行ったら、ベッドは広い分、彼の遠慮もなくなるんだって思い知らされた。
2LDKのこのアパート、ちゃんとオレの部屋も山下君の部屋もある。鍵もかかる。けど、自室に鍵を掛けて閉じ籠ったら、カチャカチャとドアノブをいじる音がして――1分も経たないうちに、静かにドアを開けられた。
想像して欲しい。いい笑顔でドアを開けて、部屋に入って来る男の姿を。右手に握られたフォークを。
「見ぃ付けた」
って、フォーク片手にゆっくり歩み寄られる恐怖を。
フォークで鍵って開くもんなんだって初めて知った。
山下君には鍵かけても無駄なんだってことも分かった。
分かりたくなかったけど事実だ。山下君は止まらない。ファールとかアウトとか、レッドカードとか掲げてくれる審判もいない。
「またまたぁ、嫌がるフリしてっけど、お前だってホントは期待してんだろ?」
そんなことを言いながら、山下君がきゅうっとオレの股間を掴む。
ズボンとパンツを、素直に脱がされるままになってるのは、期待してるからじゃなくて、服を汚したくないからだ。
山下君は容赦ない。いや、服の上からきゅこきゅこやられ、あっさり粗相しちゃうオレが情けないんだけど。でも、「可愛い」とか言われても嬉しくないし、どうせその後汚れた服を脱がされるんだから、先に脱いだ方がいい。
「ううう……」
羞恥に唸るオレの姿に、「ほら、ビンビンじゃん」って山下君が笑った。
「大丈夫大丈夫、これはお前のためなんだからさ。発癌リスクを下げるためなんだから、いいよな?」
「う……っ、でも、オレばっか……」
恥ずかしさと困惑とに視界を滲ませながら文句を言うと、むき出しの竿をきゅうっと掴まれる。
「ああっ」
反射的に漏れる悲鳴。意図しないで浮き上がる腰。山下君がくくっと笑いながら、オレの亀頭に舌を這わせる。
「自分ばっか恥ずかしーの?」
からかうように言われて、「うんっ」って叫ぶようにうなずくと、更に嬉しそうに笑われた。
「じゃあ、オレも脱ぐよ。それで一緒だろ?」
言いながら、バッと山下君が服を脱ぐ。その股間は、やっぱり凶悪に大きく勃起してて。
これって、トモダチ同士でやることなのかな、って。そんな疑問が浮かんで消えた。
(終)
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