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一
そこは、あまりに自分には相応しくないと思った。
七生(ななお)は辺りを不安げに見回している。着慣れない真っ白なタキシードは、七生の色の白さを誇張しているようで、なんだか照れ臭かった。
父親の知り合いが主催をしているというパーティーに行ってみないかと誘われて、はるばる故郷のイギリスからやってきた八神七生(やがみななお)は、自身の家にいる人間以外に出逢ったことがなかった。多くの人が行き交うパーティーは勿論初めてで、自分より頭一つ分も違う背丈の人間に少し戸惑った。
自分とは全く違う世界の人達なんだと、七生は思い知らされているように感じた。
(みんな、アルファの人だ……)
存在感のあるその風貌は、まさに選ばれた性だと言えるだろう。男女問わずに背が高く、顔が整っていて、とても洗練された雰囲気がある。
この世には、男女の性の他に、アルファ、ベータ、オメガという三種類の性別が存在する。
アルファはエリート、ベータは凡人、そしてオメガはその二つよりも立場が弱い、身分の低い性別だ。
「あれ? あの子もしかして」
「なんでオメガがこのパーティーにいるんだ?」
七生を見た人間は口々にそう言った。それは七生が放つ微量の匂いと、最も目立つのは首につけたチョーカー。
それが、七生が“オメガ”であることの証明だった。
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