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アルファばかりの中にいると、オメガはすぐに分かってしまう。
体格の差や雰囲気は勿論、オメガは微かに甘い匂いを放つという特性があるため、そして、アルファはその匂いに反応するという特性があるためだ。
そして、アルファは無意識のうちに、自身の“運命”を探しているのだと言われている。
アルファとオメガの間にしか生まれない、“運命の番”———その関係は、いくら相性の悪い人間同士でも、互いに惹かれ合うのだという。
七生は、その話を聞いた時、少しだけ期待をしてしまった。
自分にも、運命の相手がいるのではないか。その人と出逢えたのなら、どんなふうになるのか。
(でも、俺にそんなこと……)
そして、出逢えるはずもない、とも思っていた。
パーティーも盛り上がりが落ち着いた頃、七生は少し雰囲気に当てられたのか、気分が悪くなった。
どこか空気の良いところで休みたい、と辺りを見回すと、近くにいたウェイターがそれに気付いて、中庭まで案内してくれた。
中央に噴水のある、すごく綺麗な中庭だった。飛行機で何十時間とかかる国に来たはずなのに、建物は自分が過ごしていた場所とあまり変わりない。静かに滴る水の音を聞いていると、イギリスの家を思い出してしんみりとしてしまった。
(ホームシックなんて、情けないな。もう十八なのに)
そう思いながら、七生は首を横に振る。
父親に言われて来たパーティーだったけれど、七生は何人かのボディガードという名の使用人に連れられてやって来た。肝心の父親はパーティーでも挨拶回りが忙しく、七生は一人にされてしまった。
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