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自分がオメガであると分かった時から、父親とはあまり関わりがなくなった。アルファの家系でオメガが生まれると、まず父親は、ベータの使用人を何名か雇い、彼らを七生の世話係とした。
それは、思春期以降に訪れるオメガの発情期への対策でもある。
けれど、七生が十五歳という、発情期の初潮の年になってからも、父親との関係は変わらなかった。
(せめて、母さんの家は見ておきたかったな……)
父親は日本人女性のアルファと結婚したため、七生には半分日本人の血がある。細くて緩やかな、癖のある黄金色の髪は父親譲り、そして、ルビーのような大きな紅色の瞳は母親譲りだった。
母親は、七生が十歳の時に病気で亡くなった。その母親の葬儀でようやく、父親と久しぶりに会えたのだ。
何年振りかに見る父親は、兄と姉には笑いかけても、七生には目も合わせなかった。存在を無かったことにされているのだと、気付き始めたのは十六歳の頃だ。
どこぞの施設に入れられるのだろうと怯えていたけれど、父親は世間体を気にしたのか、七生を十八まで手元に置いていた。
そして今回の来日、七生の中には疑問が半分と、嬉しさも半分ほど感じている。今まで、父親に何かされたことはない。だから少しだけ期待してしまった。
「はぁ、ここ落ち着く……」
外の空気を吸うと、幾分かリラックス出来る。首元のボタンをいくつか外してみると、呼吸がゆっくりと楽になっていった。
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