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二
あのパーティーから、二週間が経った。
七生はあれから父親と同じホテルで過ごしており、特にすることもないまま日にちだけが経過していく。同じといっても、相変わらず父親とは顔も合わせていなかった。
外出することもなく、元々そんな用事もない。ただ部屋の窓から階下のビルや人混みを眺めているだけで、七生は何もやる気が起きないでいる。
オメガは単独行動が危険なため、外出には常に従者が付き添う。七生の家系はイギリスでも有名な富豪の家で、それらのわけもあってか、余計に一人での外出は許可されなかった。
(せっかく日本にいられるのに、なんで母さんの家に行っちゃ駄目なんだろう)
使用人が言うには、“お父様が許可されていないので”とのことだ。
(あれもこれもやっちゃ駄目って……なんなんだよ)
いじけてテーブルに突っ伏したまま、考えが色々七生の頭の中を巡る。ふと思い出したのは、あのパーティーで出会った城島というアルファだった。
自分の家の関係者以外とは出会ったことがないほど、閉鎖的な環境で育ってきた七生には、すごく不思議な体験だった。怖い思いもしたけれど、あの優しく撫でてくれた手の平だけは、今でも鮮明に思い出せる。
「あの人、どうしてるんだろう……」
また会いたいな、と考える度、会えるわけない、とも思ってしまった。オメガの自分の要求なんて今まで通ったことがない。パーティーの主催をするほどの家柄だけど、そこに集まるのはこの間のように、アルファだけなのだろう。
七生はよく、自分がオメガじゃなかったらどうなっていたのか考えている。そうだったら、父親にも認められて、他の兄弟たちとも普通に接して来られたのではないだろうか。城島という人とも、あの場で友達になれたのではないだろうか。
自分が“オメガ”じゃなければ———。
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