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七生にとっても、この縁談はあまり乗り気になれなかった。
けれどアルファだらけの家に、オメガとして生まれた自分には反論することも許されない。
結局、父親が何度言っても、城島の態度は変わらなかった。面会が終わり、眉根を寄せた自身の父親の顔を見た七生は、父親の自分への愛情がいかに希薄なものなのか痛感させられた。
(父さんも、同じなんだ)
城島の父親と、同じ。
自身の会社のために、七生を利用している。七生は、オメガはこういうものなのだと、何故か納得してしまった。
本来は、アルファの下で働く奴隷のようなもの。
“こいつも、いつかはアルファに下る性奴隷だろ”
そんな言葉が、七生の頭の中で繰り返し鳴る。
———自分は、好きでオメガに生まれたわけじゃない。進んで父親に愛されていないわけではない。
本当は愛されたい。偉かったな、凄いぞと、頭を撫でてもらいたかったのだ。小さい頃からずっと、父親の背中ばかりを見てきて、いつも不安だった。
でも、と七生は冷静に思う。
(……もしこの縁談が上手くいったら)
オメガの自分でも、父親に認められるんじゃないのか。こんな自分でも、生きていて良いと思われるのではないか。
漠然と、そう思ったのだ。
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