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一人、七生はホテルの自室でのんびりソファに横になっていた。
ぼうっとした頭で考えるのは、つい三日前のこと。七生は小さな不安と、少しだけ気分が高揚するのを感じている。
突然知らされた結婚の話に、七生は覚悟を決め承諾した。自分のようなオメガでも役に立てるならと首を縦に振ったけれど、不安は未だに完全には拭えない。
使用人が気を利かせて用意してくれた小説や漫画、日本のモデル雑誌のページを捲りながら、その不安に気付かない振りをする。
(相手がいる問題だから俺の一存じゃ話が進まないのは当たり前だけど……)
もし、破談になったとしたら、自分は益々家にはいづらくなるのだろうか。
“日本の財閥から破談されたオメガ”なんて、他に誰も手出しはしないだろう。
———なんて、不安になることは考えちゃダメだ、と七生は自分を戒める。
“そんな気分じゃねえんだって”
“結婚相手も親父に決められんのかよ”
そんな城島の言葉を、七生は頭の中で繰り返し思い返していた。
七生はオメガで、これからの人生約束されていることなんて一つもない。偶然、裕福な家に生まれたから今の待遇で生活出来ているけれど、何かが違えば、もっと酷い扱いを受けていたのだろう。
(あの人、なんだか辛そうだったな)
七生は、その時の城島の声音が忘れられなかった。
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