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「……七生様」
外側から使用人の声で名前を呼ばれた。「入って良いよ」と返事をすると、使用人は少し戸惑った様子で部屋へ入ってくる。
あの、と明らかに言い出しにくそうに口籠る使用人。七生は何を話されるのか予想がつかなかった。
どうしたの? という七生の促しで、彼女はおそるおそる口を開いた。
「えっと、アドルフ様からの言伝(ことづて)です。縁談のお話がまとまったということなのですが」
「……あ、そうなんだ」
それで、と使用人はさらに言葉を繋げる。
「七生様に是非、お相手様を説得していただきたいとのことです」
……ん、と七生はその言葉を聞くと一瞬、固まった。それまとまったっていうのか? という突っ込みは恐らく、父親達には通用しない。
縁談はどうやら、あのまま無理矢理進められたらしい。
「……俺に、ですか? なんで」
「その方が、お相手様も良いとのことで。城島家の前当主様のご提案で……」
(あのお爺さんか……)
使用人の話では、顔合わせで実物の七生と会ってからすっかり気に入られたらしく、早く婚姻の手続きをしたいとせっついて来ているらしい。
そんなに焦らなくても、と苦い顔をして、七生は呼び出されたホテルの二号棟へと向かった。
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