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七生の宿泊先のホテルは、日本でも有名な高級ホテルで、本店のある東京には、二十四階建の本棟と、十階建の二号棟の二つがあった。本棟と二号棟は渡り廊下のような通路で繋がっており、雨が降っていても濡れずに行き来が出来る。
城島家は、この顔合わせの前後一週間程度、そのホテルの二号棟に宿泊しているという。
使用人から手渡されたメモ用紙には、“十五時、二号棟二階 連絡通路ロビー”と書かれていた。
(……なんか、改めて会うの緊張するな)
そんなことを思いながら、おそるおそるロビーへ向かうと、そこは本館よりも豪勢な造りで、受付のある空間は広く吹き抜けになっていた。部屋の中央にはシャンデリアが飾られている。
時計は十四時五十五分。メモに書かれた時刻より少しだけ早かった。
(誰が来るんだろう……?)
辺りをきょろきょろ見回していると、十五時丁度に黒いスーツに身を包んだ男性が数名、ロビーへやって来た。端の方に身を寄せていた七生を見るなり、一人の男が「恐れ入りますが」と声を掛けてきた。
「八神七生様でよろしいでしょうか」
「あ、はい……」
「城島様がお待ちですので、我々と一緒に来て頂けますか」
その男は、七生の首に巻かれたチョーカーに気付いたようだ。
淡々と言うと、彼らは七生の周囲に身を固め、まるで身辺警護かのようにそのまま付き添った。黒髪をすっきりとまとめて、黒のスーツに銀縁の四角いメガネという共通する容姿。オメガの七生から見て、その体格と雰囲気ははっきりと分かる“アルファの出立ち”だった。
七生はあまりの圧にたじろいでしまったけれど、しっかりしなければと、自身の心に言い聞かせた。
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