アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
20
-
「……あの、縁談のことなんですけど」
七生が話し始めると、城島はこくん、とコーヒーを喉へ下ろした。
「そちらのお父上が城島さんを説得して欲しいってことで、来たんですが……縁談には賛成なんですか?」
おそるおそる、けれどしっかりと声を張り、七生は訊ねた。
城島はんー、と唸りつつ、顎に手を添えて考えている。
「俺、城島さんが面会のあとに、お父上に話しているのを聞いてしまって。無理なら、俺の父親にも何とか相談してみます」
その七生の発言に、城島は目を見開いた。聞かれてたのか、と場が悪いという顔をしたあと、それはすぐに真剣な眼差しへと変わる。
———まぁ、その方がありがたいけど。と城島は呟いた。
「……あんたのとこも同じようなもんだろ?」
「え……?」
「無理矢理決められたんだろ? あんたのとこの父親の、こないだの聞いてる限り、俺の家に厄介ごと押し付けてきてるって感じだったけど」
「それは……」
そうなんだけど、と七生は心の中で肯定した。その“厄介ごと”が自分のことなのも、七生は承知している。
「いくら一族で初めてのオメガだからって、そんなふうに厄介払いしなくたって良いだろ」
(あ……それ)
面会の時に、自分が思ったことだと、七生ははっとした。どうして勝手に決めるのと、泣いて縋りたい気持ちになったのだ。
けれど今は、そう思ってはいない。もし認められるなら、アルファとの子をもうけて、その人と家族になりたいと七生は思っていた。
それで、父親の自分を見る目が、少しでも変われば良いと願って———。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 178