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なに、それ。
なんか、それって……
どきん、と心臓が鳴る。
仄かに、じんわりと、身体の奥から熱が上がってくる感覚がした。顔が熱くなって、七生は城島の顔が見られなくなってくる。照れくさいような、恥ずかしいような、嬉しいような。そんな気持ちが溢れ出てきて、思わず顔を両手で覆ってしまった。
「照れんなよ。俺も恥ずかしくなるから!」
「ご、ごめんなさい! でも、すごく……」
しまったとも、やばいとも思う。七生はとても混乱していた。嬉しいです、と言った七生の声は震えている。城島は優しく笑いながら「弟みたいな感覚なのかもな」と言った。
(違うよ、城島さん)
(俺、俺は……もうね)
城島さんのこと好きみたいだ———……
初めて抱く感情だけど、その名前は知っている。目線は合わせられない。ぎゅっと目を瞑り、七生は城島を見ないようにした。
今、目が合えば自分はきっと、言ってしまうのだ。縁談を受けて欲しいと。自分は、あなたが好きなのだと、言ってしまう。
“親に敷かれたレールの上の人生に抗う”
“アルファで生まれて良かったことなんて一つもない”
(俺は……城島さんがアルファで良かったと思う)
そう、城島の言葉に七生は心の中で答える。
オメガである自分が、伴侶になれる可能性があることが、とても嬉しかった。
だから、お願い。
俺を、そばに置いて。
そう願ってはダメなのだろうか。
「どうした? まだ体調悪い?」
心配をして、七生の顔を覗き込んできた城島と、視線が交わる。
七生の視線は熱っぽくなっていて、ぼうっと眺めるように城島を見ていた。見上げた上目遣いの大きな朱色の瞳を涙で潤ませている七生は、頬を赤く染めて、何かに浸るように、その視界に城島を捉えている。
「……八神?」
心臓が、きゅっとなる。
(そんな声で、俺の名前を呼ばないで)
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