アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
32
-
うずくまる七生に、城島は目線を合わせるように自身もしゃがんで声を掛ける。
「お前、まだ、治まってなかった、のか」
「違う……これは、」
どう言えば良いのだろう、と七生は戸惑う。
確かに、前の発情は薬で治めたけれど、その後医者にも診てもらってしっかり治めたはずだ。
なのに、今自分に起きている反応は全て発情期のもので、七生は何が起きているのか分からなかった。
心臓が、鼓動がうるさい。
「はぁ、はぁ……っ、はぁ、」
「とりあえず、八神の家の使用人に来てもらわねえと。早く薬を———」
アルファの城島では、オメガの発情に正確な対処が出来るのかが分からない。けれど冷静に、自分を介抱しようとする城島の姿を見て、七生はきゅうっと胸が締まった。
城島はアルファのヒート抑制剤を持っておらず、襲わないためにと、七生と十分な距離を取っている。
ホテルの受付から連絡をしようと、受話器を取った城島の腕を、七生は掴んでいた。
(……やだ、俺、まだ)
「連絡、しないで……お願い」
「っ、八神お前……自分がどういう状況か分かってんのか」
「分かって、ます……でも、俺、城島さんと離れたくない……」
そばにいて。
お願いだから……
七生の頭の中で、そう繰り返されている。
さっきまで恥ずかしくてすぐにでも逃げたいと思っていた。けれど今は、七生の中の本能なのか、目の前のアルファと離れたくないと思ってしまう。
「お前なぁ……こっちだって、余裕ねえんだよ。オメガの発情が、アルファにとってどんだけのもんか……」
絞り出すように言った城島の表情が苦悩に歪んでいるようで、七生はまた胸がきゅうっと締め付けられる。
目を合わせた城島は、既に呼吸が荒くなっていた。それはアルファ特有の、オメガの匂いに当てられた時に出る反応だ。ギラギラと目が血走り、フーフーと食いしばるように息をしている。
「……俺は、お前を抱きたいわけじゃねえんだよ……っ!」
こんなことをするために、優しくしたんじゃない。
城島は呟いて、七生に噛み付くようなキスをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
33 / 178