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それはオレンジと黄色のガーベラと霞草の花束で、シャーロットは「このお花綺麗ですよね」と七生に見せてきた。
花の香りがすん、と鼻腔を刺激して、七生は「うん」と首を縦に振る。
「……城島様からのお見舞い、ということだったのですけれど」
「城島さんから?」
ええ、とシャーロットは不思議そうに言葉を繋げた。
「先ほど病院のエントランスでお会いして。これを七生様にと手渡されたのです。お会いになりますかとご提案しましたが断られてしまって」
「……そう、なんだ」
七生はふと、数日前の出来事を思い出して複雑な気分になる。
先日、七生は城島に抱かれたけれど、それは事故と言ってもいいほど乱暴なものだった。
“お前を抱くために優しくしたんじゃない”
そう言って自分を押し倒した城島の表情は苦しそうで、オメガの匂いに当てられてしまった彼は、衝動的に七生と事に及んだ。
七生が気を失うまでずっと、城島の昂りも治まってはいなかったのだ。
「……あの、七生様」
「ん、何? シャーロット」
お気を悪くされたら申し訳ないのですが、と言うと、シャーロットは「城島様のことで」と、おそるおそる話し始める。
「私どもが城島様からのご連絡でお部屋へ向かったとき、そこには七生様の匂いが充満しておりました。ベータの私でも当てられそうなくらいに」
「……え、俺の、?」
はい、とシャーロットは出入り口の脇にある手洗い場で花瓶に水を入れると、そこへ花を生けた。
「城島様の腕には、血が滲むくらい強い噛み跡がいくつも残っていて……七生様の頸にないのを見ると、番にはなられていないのですよね?」
相当な葛藤だったのだと思います、とシャーロットは眉を下げ、同時に、「ベータの私にはとても想像がつきませんけど」と七生を気遣うように笑った。
その苦悩は、どれだけのものだったのだろう。血が滲むほど、と聞いて、七生は思わず口を手で覆った。重ねて、抱きたくないと思っている自分を無理やり抱かせてしまったと、自身に対しての嫌悪感でいっぱいになる。
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