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くそっ、と城島は吐き出すように言うと、七生を自分の方へと抱き寄せる。肩口へ顔を埋めるようにして抱きしめられた七生は目を丸くした。どくどくと心臓が鳴って、顔に熱が灯るのが分かる。
「きっ、城島さん、なに、を」
「……お前が、悪い」
耳元での声が掠れていた。城島が切なげに言うので、七生は益々心音をどくどくと速める。
七生が戸惑っていると、城島は抱き寄せた腕の力を少し強めた。
「お前が、あんなこと言うし……匂いが、消えなくて。なんかすげえ、寂しくなった」
———ずるいんだよ、と城島は言う。泣きそうにも聞こえた声に、七生はどきん、と心臓が弾んだ。そして、そんなことを思ってくれていたのかと、嬉しさがじんじんと湧いてくる。
「……お前がイギリスに帰るって聞いて、なんかもう、いてもたってもられなくて」
「え……?」
(……え、それって)
待って。
待ってよ。
俺、そんなこと言われたら……
自分の心拍がどんどん上がっていくのが分かる。顔の熱が沸騰しそうだった。
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