アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
父親と執事数名が部屋から出て行ってすぐ、シャーロットと七生の部屋付の使用人が病室へと入ってきた。父親の言葉を聞いていたのか、シャーロットは七生に駆け寄ると、心配そうに名前を呼んでくれる。それに「大丈夫だよ」と笑顔で言うと、彼女は軽く溜息を吐いた。
「七生様、これからどちらに行かれるのですか」
アドルフ様はもう行ってしまいましたが、とシャーロットに聞かれて、七生ははっとする。
「……ど、どうしよう。ホテルとか取ってないし……俺、日本にいて良いのかな」
「あほ。いて良いに決まってるだろ。俺の結婚相手になったんだぞ」
おどおどする七生の手を引き寄せた城島は言った。七生はかあっと顔が赤くなって、急に恥ずかしくなってきた。「まあ!」とシャーロットが感嘆の声を上げると、他の使用人たちも小さくではあるが拍手をし始める。
「……んじゃ、俺んとこ来るか。こいつの部屋付ってことだったけど、あんた達も来んの?」
「私は付いて行きます。アドルフ様がなんと言おうと、私は七生様につきますわ」
シャーロットが真っ先にそう言うと「私も」と次々に言い始め、城島は可笑しそうに笑った。「モテモテじゃん」と頭を撫でられ、七生は益々照れ臭くなった。
「んじゃ決まりな。全員もれなく雇ってやるよ。七生の世話係も引き続きしてくれて良し」
“七生(ななお)”———初めて呼ばれた名前に、七生はどきりとする。
少年のように歯を見せて笑った城島に、七生は胸がじんわりと暖かくなっていくのを感じていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
49 / 178